最近読んだ本

いっぱいなんで簡単に

  • 森博嗣 / 今はもうない
     語り口が絶妙なんですが、あんまり内容を語るとネタバレになっちゃうしな~。いくつかの仕掛けがあって、非常に楽しめました。ミステリーとして単純にトリックだけではなく、もりだくさんでお得感がありました。
  • 大江健三郎/性的人間
     『性的人間』は終わり方が最高ですね。なんだか脈絡がないようでいて、最終的に回収される感覚も悪くありません。『セブンティーン』『共同生活』は別の趣向がある作品で、内的な葛藤のリアルな描写であったり、シンボリックな描きかたなど異なる魅力があります。
  • 村上春樹 / ねじまき鳥クロニクル
      彼の物語の中では不思議度が一番高いように感じます。象徴的でミステリアスです。一人の人間の多面的な要素を解体し、複数の人間や出来事、事物として描くことで、一人の人間の人格の構成要素のせめぎあいを描いているように私には感じられました。これだけ抽象的でありながら、部分分の面白さ、魅力の高さゆえに難解な印象はなく、どんどん読み進められるのは彼の技術の高さだと思います。
  • 松本清張 / けものみち
     前知識まったくなしで読み始めたんですが、けっこうエロい話だったんですね。最後は救いがないな~。松本清張のいいところはなんといっても登場人物のキャラがたっているところでしょう。もう誰もかれも魅力的。ドラマ化されるのもよくわかります。役者さんも演じてて面白いでしょうね。
  • ジョン・L. カスティ / プリンストン高等研究所物語
     若干の改変はあるものの(まえがきに、改変箇所がちゃんと示されています)、アインシュタインノイマンオッペンハイマーゲーデルなどの天才たちの日常をかなりリアルに描写してあります。プリンストン高等研究所が、どういう理念の下で運営されていたのか、そしてそれが実際にどの程度運用上の制約を持っていたのか、などの理解も深まります。資料的価値も高いです。しかし、その中で論じられる問題についてスリリングな議論こそ、この作品の本質と言えるでしょう。
  • 江井戸川乱歩 / 人間椅子
     人間椅子のトリッキーな構成は、知っていたとしても実際読んでみるとその文章から醸し出される雰囲気にやられることまちがいありません。人でなしの恋も美しくも怪しい物語で、雰囲気がすばらしい。
  • 平沼義之 / 日本の道路120万キロ大研究
     国道好きなら知っていることも多いとは思いますが、改めて文章として示されると面白いです。そして著者のサイトを見ていると、わかる廃道への愛のルーツも知ることができます。
  • 藤野英人 / 投資家がお金より大切にしていること
     お金に対する考え方を示した本の中では、非常に素晴らしい内容でした。たしかにそのとおりだと思わせてくれる説得力があります。