最近聴いた音楽

  • Killswitch Engage / Incarnate
     Killswitch Engageは継続的に質の高いアルバムを作り続けているバンドではありますが、新作はその中では特に可もなく不可もなくといったところでしょうか。とはいえ彼らの素晴らしいアルバム群のなかで標準的ということは、それほど悪いアルバムというわけではありません。緩急をつけたアレンジによりスケール感とメジャー感があり、ここぞというところでキャッチーなメロディーがガツンとくるのはさすがといったところです。変拍子のアレンジは若干とってつけたような感じもありますが、演奏技術も安定していてバンドとしての一体感があります。ただメロディー自体は前作の方が質が高かったように思いますし、歌についてもこれ前任者のハワードの方がうまく歌えたんじゃないのというような感じがします。前作はメンバーチェンジ直後ということで、気合が入っているのが伝わってきましたが、新作はけっこうリラックスして作ったんじゃないでしょうか。Killswitch Engageの音楽が好きな人は買って損はないように思いましたが、入門者向けではありませんし、Killswitch Engageがまぁまぁ好きぐらいの人はスキップしてもいいアルバムだと思いました。ただ、しょうもないメタルコアのアルバム買うくらいなら、このアルバムの方がよほど質は高いです。


  • Devil You Know / They Bleed Red
     で、そのKillswitch Engageを抜けたハワードのバンドの新作。なんでこんな力任せな作風なんだろう?とにかくヘヴィでリフがゴリゴリしているんですが、いまいちハワードの歌がはまっていないように感じます。はまっていないというか、ハワードはホントにうまいシンガーでクリーンボイスはソウルフルで情感豊かである一方で、アグレッシブなグロウルも素晴らしいです。彼の魅力を最大限に発揮させるためには、ドラマチックな曲展開と質の高いメロディーが不可欠だと思うのですが、Devil You Knowの音楽は比較的平板でストロングなイメージが延々続く感じで緩急が不足しているんですよね。あとメロディーの質ももうひと頑張りしてほしい。結局、本人たちはどう思っているのか知りませんが、killswitch Engageの音楽こそハワードにはまっていたと思うんですよね。現状だとWithin Temptationのアルバムにゲストシンガーとして参加したときとかのほうが、全然ハワードが輝いているように感じました。今のメンバーも素晴らしいキャリアがあることはわかるのですが、もっとハワードの魅力を引き出すことのできるソングライターがDevil You Knowに参加してくれることを希望します。


  • Babymetal / Metal Resistance
     前作はまだまだ国内の一部のメタルファン向けか、J-Popシーンか、世界のマーケットでやるのかというマーケットが定まっていなかった状況の中で作ったアルバムということで、比較的国内向けの部分が多かったように感じています。そしてJpopのマーケットで「メタル」とか「ロック」というキーワードが使われると、歌謡曲のメロディーにゆがんだギターとデジタルビートを組み合わせたビーイング系みたいな音になる傾向があります。まぁ洋楽のメタルとかを聴いている人間からすること「コレジャナイ」感がハンパない音なんですよね。しかしBabymetalの場合、海外での評価も高かったおかげでグローバルなマーケットに対応できるようなメタルサウンドが提示され、メタルファンも安心して聴くことができる音になっています。前作ではインスパイア元がX Japanとかでしたが、新作ではDragonforceやパンテラDream Theaterあたりで、サウンドの充実感がハンパありません。その分、デジタルビートのはいった3曲目と4曲目は違和感がありました(でも、こういうタイプのギミチョコが海外で結構ヒットしたんですよね?)。チューンダウンしたギターゲージのしなりが感じられるリフがクールな2曲目やDream Theaterインスパイアな組曲っぽいラスト2曲が気に入りました。一方でアレンジやサウンドプロダクションなどの丁寧できめ細かな仕事は日本人が絡んでいるよさだと思います。とても丁寧に作られています。


  • Pop Evil / Onyx
     きょうび珍しいストレートなロックサウンドが魅力的なバンドの新作です。このアルバムは彼らのキャリア中、最高傑作だと私は思いますね。はつらつとしたサウンド、メロディーのよさなど彼らの魅力がつまっています。前作も素晴らしかったし、派手さやパーティーロックっぽいノリのよさでは前作が上ですが、新作はクールな雰囲気もあってカッチョいいです。グランジDeal With The Devil、NuMetalのようなヒップホップのノリを取り入れたTrench(特にこの曲が好きです)、ストレートなロックの魅力があふれるFly Away、Welcome To Reality、メロディが秀逸なBehind Closed Doorsと聴きどころいっぱいでした。



  • Pop Evil / Up
     そしてPop Evilの最新作。なんだか期待外れでした。なんちゅうかマルーンファイブとか意識してるんですかね。だからってたいしておしゃれでもないし、メロディーもリフもノリもイマイチでした。ジミヘンっぽいTake It Allはカッコよかったです。でも他はう~んって感じでした。