最近聴いた音楽

  • Evergrey / Storm Within
     昔はプログレ要素があったのですがいまはほとんどなくなってしまったので、サブジャンルに分類することが難しくなってしまいました。しかし、そのように突出する要素がなくなって、音楽がつまんなくなったかというとむしろ逆で、このバンドの素の良さ、味のあるメロディーがエモーショナルな歌唱、地に足の着いた演奏などといった魅力が感じられるようになりました。非常に質の高いアルバムだと思います。大人のメタルですよね、これは。
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  • Ne Obliviscaris / Citadel
     これはすごい。ジャンルとしてはプログレデスとかになるんでしょうが、もはやポピュラーミュージックのフィールドで評価されるレベルではなく、現代音楽やジャズなど、より包括的な「音楽」の中で評価されるべき内容です。演奏技術、音の構成なども含めてすべてがハイレベルで、なおかつオリジナリティも高いです。サウンドもアーティステックでありながら、ドラマティックに盛り上がる部分もあり、独自の世界観を提示しています。またベースやバイオリンを総動員している感じがあり、各楽器が音楽の中で果たしている役割が多彩です。極めて質の高いアルバムでした。
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  • Mors Principium Est / Embers Of Dying World
     彼らはこれまでも緊張感とスケールの大きさが両立したアルバムを作ってきましたが、新作は過去最高のレベルでそれらが両立しています。彼らの最高傑作は3rdのThe Unbornでしたが、新作はそれを上回るクオリティです。
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  • Firewind / Immortals
     なんかティモ・トルキがいた頃のストラトバリウスみたいな曲とか、オジーミラクルマンみたいな曲が入ってました。いつもの感じとちょっとちがうのは、意図的みたいです。が、違うとはいえ「ちょっと」だけなので、期待してたのと違ったといって怒る人は少なそうです。むしろ、ちょっとマンネリ感があったのが払しょくされて、いい感じになっているように思います。ギターはさすがで、単にテクニカルというだけではなく、聴きごたえがあります。フレーズにフックがあるのと、ひとつひとつの音を出すときのアタック音なども強く、聴き手の胸を熱くさせるプレイです。サラっと聴き流すことができない魅力にあふれたギターを聴くことができることは、このアルバム最大の魅力といっていいでしょう。
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  • Animals As Leaders / Madness Of Many
     これまでの作品は楽曲を作り出すためのアイデアが先行しているため、それが楽曲の良さにストレートに結びついていない印象がありました。聴いていくと、すごさがわかるという感じでしょうか。これはスルメというのとはちょっと違うと思います。スルメと呼ばれる作品は最初から良さがわかりますし、聴いていくとますます良さがしみてくるという感覚があるはずです。しかし、これまでの彼らの作品は、聴いていかないと良さがわからないという感じだったように思うのです。しかし、新作でもその問題が一気に解決した印象があります。新作ではフュージョン的なアレンジをこれまで以上に大胆に楽曲にからめることで、聞き手の集中力を途切れさせることがありません。とにかく楽曲の魅力が一聴しただけでぐっと入ってきますし、聴いていくとこれまでどおりの綿密に練られたアンサンブルにうならされます。アーティスティックでテクニカルというだけでなく、キャッチーさという魅力まで手に入れた彼らはもはや無敵と言っていいでしょう。
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  • Veil Of Maya / Matriarch
     リフとドラムが完璧にシンクロしているところが、超カッコいいです。しかもこのアルバムからはクリーンヴォーカルが導入されて、とっつきやすさも加わりました。メロディーが入ったことで、リフのカッコよさが引き立っています。
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  • Battle Beast / Bringer Of Pain
     う~ん、イマイチです。このバンドは期待値が高かったので、それでも平均からすると悪くない作品ということになるのかもしれませんが、個人的には不満を感じる内容でした。これって日本のメタルバンドなんかでも時々感じるんですが、曲自体がポップスの手法で作られていて、アレンジでメタルにしようとしている感じがするんですよね。ポップスとメタルって曲の作り方が違うと思うんですよね。凄く大雑把な話になってしまうのですが、ポップスはメロディーを思いつく→コードをつける→アレンジするっていう流れで曲ができてくると思うんですよ。それに対してメタルはギターリフを思いつく→それに歌メロをつけるという流れで曲を作るはずです。その結果、ポップスって曲をヴォーカルのキーにしっかり合わせますし、コードの役割とかもしっかり考慮してコード進行が決まっていく感じがするんですよね。でもメタルって、曲のキーはギターの開放弦の音とのからみで決まってしまったり、強引なコード進行があったりしますよね。ポップスの手法で作られた曲には、メタルにはない緻密さというか、至れり尽くせり感があって、なんか違うんですよね。Battle Beastの新作も、非常にコードとかがしっかりと考えられていて、そこの部分の役割は鍵盤楽器が果たしているように感じます。ギターは曲展開において重要な役割を果たすというよりはサウンドデザインの一部として曲をメタルっぽくするために用いられている感じがするんですよね。
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  • Mutiny Within / Origins
     前作は歌メロの魅力を強化することで一定のクオリティのある作品となっていましたが、新作は演奏面が強化されています。プログレッシブなメタルコアバンドだったはずのMutiny Withinに求められるのは、こちらの新作の方向性だと思います。前作もよい作品ではありましたが、あの方向性で作品を重ねていくと、必ずマンネリ化してしまうことは目に見えているわけで、演奏面に再びスポットを当てる形になったことは、今後の展開という点でもよかったといえると思います。
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  • Epica / Holographic Principle
     前作があまりに最高だったので、新作についてどうなるんだと心配していたわけですが、前作の延長線上にある手堅い作品という感じでした。前作より疾走感がありますね。とはいえ、あれだけのクオリティの作品を作ったわけですから、それを超えないまでもそん色のない作品を続けることができたということは、素晴らしいことだと思います。
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