最近聴いた音楽

  • DGM / Momentum
    確かな演奏技術と多彩なアレンジ、幅広い音楽的バックグラウンド、豊かな感受性と極めて完成度の高い音楽を作るバンドDGMの新作です。前作もすばらしいアルバムでしたが、新作はさらにクオリティが高くなり、密度の高い音楽を聴くことができます。彼らの音楽はジャンル的にはプログレメタルあたりに位置づけられるのでしょうが、それにとどまらない魅力があります。ドラムは手数が多くバリエーション豊かなグルーブを作り出します。ハネるファンキーなリズムや2拍子のリズムが持つ早足で歩くような感覚、16部音符によるメタルらしい直線的リズムなど単にテクニックだけではなくグルーブ感までコントロールできるドラマーにしか作り出すことのできない世界があります。ギター、キーボードのアレンジもデミニッシュスケールのもつミステリアスな雰囲気、ペンタトニックのもつブルージーなイメージ、フラット5thがもつアグレッシブなヴォイシング、ハーモニックマイナーによる荘厳な雰囲気などがひとつの曲の中で入れ替わり立ち替わり登場し、曲の表情がくるくると変化します。ギタリストの演奏はたんにテクニカルなだけではありません。リフを弾くときにどの程度ハーモニクスを出すのかや、クランチサウンドでの微妙なニュアンスなど完璧にコントロールされた演奏があります。それでいて曲はコンパクトで、爽やかかつキャッチーなメロディーがあります。それゆえ密度の高いアルバムにありがちなとっときにくさを全く感じず、すっとアルバムが入ってきます。豊かな才能と、高い技術を感じることのできるすばらしいアルバムということができるでしょう。