最近聴いた音楽

  • Five Finger Death Punch /The Wrong Side Of Heaven and The Righteous Side Of Hell Volume1
     今、勢いがあるバンドナンバー1といってもいいFive Finger Death Punchの新作です。前作はメタルのエッセンスを感じさせつつも、ポップミュージックのチャートで十分に健闘しうる内容になっており、新作ではその路線がさらに進められるのではないかと感じていました。しかし、ふたを開けてみるとむしろ作品全体の印象は前作よりもソリッドできらびやかさを抑えた、ストレートなメタルのエッセンスの方を強く感じます。もちろん、それには一曲目がメタルゴッド、ロブ・ハルフォードをフューチャーした楽曲である事が無関係ではありません。また、新作においてはギターソロらしいギターソロはありませんが、各曲の間奏で、一瞬ギターがソロ的な雰囲気を発するシーンがあるほか、“Diary of Deadman”はヴォーカルは語りのみで、インストゥルメンタルがメインとなっています。当然、ギターもそれなりにフィーチャーされ、トータルで見ると前作よりはかなりメタルファンの琴線に触れる作品と言えるのではないでしょうか。実はこのバンドのギターはバッキングでそれなりに凝った演奏を聴かせてくれる事が多い事もあって、ガッツリソロがある曲が聴きたかったりします。しかしメタル的エッセンスが強く、ヴォーカルはグロウル寸前でありながら、ポップシーンでも勝負出来るほどのキャッチーさを新作も失ったわけではありません。ここらへんのバランス感覚があればこそ、これだけ売れているのでしょう。

  • Trivium / Vengence Falls
     アメリカのバンドは、メタルバンドであったとしてもうねりを感じさせるグルーブをリズムに取り入れているバンドが多い中、彼らのアルバムはストレートなメタルらしいグルーブにつらぬかれています。逆にだからこそ、ときどきワンポイント的に配置されているグルーブ感のあるセクションが非常に際立った印象を与えます。そこにカッチリとした印象のリフと、勇壮なメロディー、叙情的なツインリード、とまさにメタルファンのハートを直撃するアルバムを彼らは作ってくれます。新作も期待に完全に応える内容です。さらにファーストシングルの“Snife”など、印象的なメロディーがアルバムの随所に配置され、そこそこ長いアルバムを聴いている間、一時も集中力を途切れさせてくれません。“Wake(The End Is Nigh)”などは、余韻のある最後が非常に印象的です。アルバムトータルで見た時のスケール感も格段にアップグレードし、彼らの魅力である構築美がここの楽曲を超えてアルバム全体に及んでいる、そんな印象です。彼らのアルバムはどれも好きなので、安易に最高傑作などとは言いたくないですが、完成度という点では過去最高のアルバムなのではないでしょうか。