最近聴いた音楽

  • Airbourne / Black Dog Barking
     なんかめっちゃAC/DC。ロックには多様で複雑なサブジャンルがつぎつぎと出てくるわけですが、シンプルでストレートなロックンロールがいまだなお高い煽情力を持っていることを証明するようなアルバム。しかもサウンドは新鮮味にあふれていて、サブジャンルの開拓はマンネリ感からの脱却が一番の目的だったのに、サブジャンルへ進出していったバンドが数作で再びマンネリに陥ってしまうことを思うと、Airbourneのヴォルテージの高さは驚異的といっていいでしょう。すばらしいドライブ感、ライブでの盛り上がりも間違いなし。ロックのあるべき姿を示してくれる汗臭い漢ロックアルバムでした。


  • Chevelle / La Gargola
     渋さ抑え目のダークなロックという雰囲気。微妙にサザンロックとU2のフレイバーも感じます。ジャンル的にはオルタナあたりに分類されるのかな?サウンドは歪みを強くしたり、ダウンチューニングなどによる物理的なヘヴィさではなく、よどんだ独特のアルペジオトレモロによりサウンドの雰囲気がヘヴィです。キャッチーではありませんが、パンチ力のあるリフや、浮遊感のある美しいメロディによりアルバムはあっという間に終わってしまいます。ちょっと計算違いだったのは、最初聴いたとき、こりゃドライブ中に聴くのにいいやと思ったのですが、思いのほかダイナミックレンジが大きくて、小さい音の部分が聴きづらかったことですかね。


  • Destrage / Are You Kidding Me?
     前作は素晴らしい作品でした。新作も方向性自体は前作と同じなんですが、はちゃめちゃ感が少々ダウンし、演奏の安定感がアップしています。トータルいうと、普通のメタルコアにちょっと歩み寄った感じですね。前作にあったバネがビヨンビヨンするようなサウンドを求めている人には、若干ものたりなのかなとも思いますが、バンドとしての演奏力の向上と、より複雑で練った楽曲を前にするとこれはこれで悪くないと思います。それに、これでも十分メタルコアとしてはハジけた音だと思うんですよね。


  • Lost Society / Terror Hungry
     ぶっちぎりのテンションでリフをガシガシひくというメンタリティが実にスラッシー、この頭悪そうな感じが超かっこいいです。とはいえリフはけっこう練られていて、繰り返しでは一個音を多めにはさんでタイミングをずらしたりといった小技もあったりします。とはいえ、そういう細かいところで評価が決まってしまうようなタイプのバンドではなく、ここにあるのは圧倒的なエネルギーと力任せのガツンガツンとした疾走感です。非常に繊細で神経質なジャンルになりつつあるメタルのなかで80年代のメタルが持っていたローIQハイエナジーな感覚を思い出させてくれる気持ちのいいアルバムでした。


  • Savage Messiah / The Fateful Dark
     これはヤベェ。とても2014年にでたアルバムとは思えない。雰囲気が完全に80年代に出た正統派ヘヴィメタルのアルバム。このタイプの音楽を好きだったファン層というのはたいがいメロスピあたりに行ってしまっていて、ファン層の遷移にあわせてバンド側も、さらにクサいメロディとシンセの分厚いアレンジを提供するようになっているわけですが、正直いってついていけないなぁと感じている層もけっこういるのではないかと思うわけです。このアルバムはまさにそういう層への福音としか思えません。適度なクサさにとどまりこてこてにならないメロディ、ブラストビートのような絶対的速さではなく、感覚的なスピード感を重視するリズム、ハイトーンヴォーカル、キモいジャケ、すべてが私がよく知るメタルのそれです。素晴らしいアルバムでした。