最近聴いた音楽

  • Arch Enemy / War Eternal
     アンジェラ脱退、クリストファー脱退という大きなバンド変革のあとの1作目ということもあり、力の入った作品となっています。とにかくギターのメロディがキレッキレなので、どの曲も強力にハートをわしづかみしていきます。これまでの作品もクオリティは高かったわけですが前作はちょっとマンネリ感が漂っていました。しかし、新作は演奏のいたるところから新鮮さと勢いがあふれています。また前作は異常なまでにソリッドでタイトな演奏がなされていて、それが人間性を奪い去るようなブルータルな雰囲気を作り出していたわけですが、新作での演奏は比較的標準的なメタルバンドらしいライブ感も感じさせてくれます。



  • Dynazty / Renatus
     ワイルドで比較的メロディックなハードロックという局地的に流行している80年代の味わいを感じさせてくれるサウンドは継続です。ただサウンドにブルースフィーリングが少なめで、どうもロックらしさみたいなのが希薄なのはいままでどおり。曲自体はキャッチーで聴きやすいうえ、前作までのようなアイドルっぽさがなくなり、男っぽくアグレッシブかつワイルドになったのは悪くないです。

  • Kurt Rosenwinkel / Star of Jupiter
     これまでのカート・ローゼンウィンケルのアルバムは、たとえギターが抑え気味であったとしても、彼のモーダルな音づかいが前面に出た斬新なジャズが展開されていました。しかし、新作はかなり親しみやすい普通のジャズに近いサウンドです。(まぁ時にプログレの香りが漂いますが)もちろんエネルギッシュでブルージーなジャズでもなく、おしゃれなジャズでもなく、ブラッド・メルドーに代表される透明感ある幾何学的なイメージを伴うジャズという感じです。彼のオリジナリティはただ透明なだけでなく、独特の揺らぎと淡い広がりが音の中で表現されているところだと思います。これまでの作品では彼のオリジナリティは時に実験的な雰囲気を作り出していましたが、新作では自然な形で音楽の一部を構成しています。これだけ斬新な音づかいの音楽を自然に響かせてしまうセンスは素晴らしいとしかいいようがありません。