最近聴いた音楽

  • Chiledren Of Bodom / I Worship Chaos
     悪くないんですが、なにかこうわかりやすいセールスポイントがあるわけでもないので、どうほめていいのかは難しいです。もちろん彼らの過去作のなかには突出して素晴らしいものがあったのは事実ですが、それ以外の作品にしても、彼らは常に一定以上のクオリティの作品を作ってきましたし、新作もその中に入れてもとくに劣った印象があるものではありません。ギターリフオリエンテッドといえばそうかもしれませんが、キーボードとの絡み方からは彼らの個性を感じますし、なにより全体に漂う勢いまかせな感覚もそのままです。彼らの作風の振幅の範囲に収まる作品であり、変わったといえば変わったけど、本質的にはそれほど大きな違いはなく、いつも通りのクオリティの作品を出してくれたとうのが私の感想です。



  • Miss May I / Deathless
     みごとなまでにメタルコア。どことなく漂う哀愁、マッチョなリフとブレイクダウン、グロウルとクリーンのコントラスト、ほんとに典型的と言っていいでしょう。かつて同じような音楽をやるバンドが大量に出てきて、シーン全体のクオリティが下がってしまったのですが、今残っているのは一定のクオリティを備えていたバンドだけなわけで、聴いていくとステレオタイプというよりは、実に手堅いアルバムであることがわかります。


  • Trivium / Silence In Snow
     メタルのアルバムにはなんらかの過剰さが求められているものです。過剰なスピード感であるとか、過剰なヘヴィネスであるとか、過剰なドラマ性であるとかです。しかし、彼らの新作にはそのような過剰さがありません。さらに彼らの初期作品にみられたメタルアンセム的なわかりやすさもなくなり、非常に地味な作品であるといえます。しかし、一拍一拍、確かめるように刻まれるリズム、凛と響くメロディなど、独自の美意識に貫かれた楽曲は実に質が高く、聴けば聴くほどその良さが沁みてくる名作です。


  • The Winery Dogs / Hot Steak
     前作はとにかく演奏の凄腕っぷりが印象的で、ひたすらユニゾンに耳が奪われるような感じでしたが、新作ではつかみの一曲目はともかくもっと多彩な魅力を感じることができる作品になっています。なにより気に入ったのはテンションコードの響きを活かしたアダルトオリエンテッドなメロディーです。Ghost TownからWar machineまでの流れは非常に素晴らしいです。またタイトルチューンではフュージョンっぽいグルーブのリズムなどもフューチャーされていて、彼らがテクニックだけではなく幅広い音楽的教養を持っていることが伝わってきます。より普遍的な魅力にあふれた二作目といえるでしょう。

  • Atreyu / Long Live
    かつてメタルコアムーブメントの一角を担ったバンドの再始動アルバムです。かつてはLAメタルを彷彿させるキャッチーでさわやかなコーラスをサビで聴かせてくれたわけですが、新作にはそれほどのきらめきはありません。決して駄作ではないものの、決め手になるような魅力もなく、もっとポテンシャルは高いのではと感じました。