最近聴いた音楽

  • The Winery Dogs / The Winery Dogs
    リッチー・コッツェンビリー・シーン、マイク・ポートノイによるスーパーバンドということで、発売前から個人的にはおおいに期待していました。というのもここ最近のリッチー・コッツェンの作品はどうも覇気がないというか、そもそもリッチーはあまり作品を改まって作る方ではないのですが、それにしてもあまりにも惰性の感じが強すぎるように感じていたからです。しかし、このように仕切り直しとなれば、リッチーも気合いを入れて作品を作ってくれるのではと思っていました。作品が発売され、内容を聞いてみると、その期待はかなりあたっていたように思います。音楽的にはリッチーの色が濃く、彼の新しいソロアルバムだよといわれても「まぁそうかな」と思える内容です。ただ、ここ最近のリッチーの作品として考えると、非常にロックしています。リッチーがかりに今のタイミングでソロアバムを作ると、もっとフュージョンや昔のソウルミュージックの影響が濃く出たのではないでしょうか。したがって、単純にリッチーの作品という事は出来ない部分があるように感じます。もちろん、ドラムやベースがソロを取る割合が増えているということもあるのですが、たとえばマイク・ポートノイのドラムは、完全にヘヴィロックの流儀で、リッチーのグルーヴに組み合わせるにはしなやかさに欠け、重量感に偏っている印象があります。ただし『Criminal』のようなミドルヘヴィの楽曲では、マイクのグルーヴは超カッコいいです。したがって完全にリッチー主導というわけではなく、ロックなメンバーによる作品である意味は十分にあった訳です。もちろんリッチーのいまの趣向が完全に反映されていないとはいえ、彼の魅力は十分に感じる事が出来ます。高音域がまるでエイミー・ワインハウスのように響くソウルフルなヴォーカルと、プリンスのようなアレンジセンスからは豊かな音楽的バックグラウンドを感じる事が出来ます。歪みの押さえられたギターサウンドで奏でられるリフはヘヴィかつファンキーで、ソロでは滑らかなレガートプレイとフィンガーピッキングで個性的なプレイを聴かせてくれます。彼のソロはタッピングで音を詰め込む最近の流れとは異なり、強いオリジナリティを感じます。とくに『Six Feet Deeper』は変拍子っぽく聴こえるリフとテンションコードをバックにテクニカルなソロとギタープレイの魅力がたっぷりです。またサビのメロディーがいい曲が多いのもこの作品の特徴です。個人的には『Not Hopeless』が気に入りました。また、この曲はベースソロがガッツリあるのも素晴らしい上、さらにそのあと見事なギターとベースのユニゾンを聴く事が出来ます。ブリッジをはさんでのギターソロはモーダルな響きがシビれます。『You Saved Me』のようなバラードでは渋いメロディーにソウルフルなヴォーカル、そしてブルージーなギターがからみます。というわけで、個人的には大満足の一枚でした。


  • Children Of Bodom /Halo Of Blood
    方向性的にはこれまでどおりのストリート感覚を感じさせるメロデスです。彼らの場合、作り込んだ作品と惰性で作った作品がけっこう分かれる感じがします。スリリングさが高い次元で調和している作品とただ、妙に安定感だけが印象に残る作品があるわけです。で、新作は後者かな。とはいえ、そんなにキバらなくても作品のクオリティをあげる方法を彼らなりに習得してきているようで、かつての惰性で作ったと思われる作品(たとえば『Blooddrunk』)と比べると聴きやすくて、これはこれで悪くないなと思えます。彼らの音楽的なピークは『Hate Crew Deathroll』だと思うのですが、新作は対極にあるように感じます。『Hate Crew Deathroll』のようなギラギラ感やスリルはありませんし、一曲目から強引なまでにリスナーをつかんでくるようなパワーはありませんが、どの曲も一定以上のクオリティとキャッチーさを兼ね備えていて、安心して聴く事が出来るアグレッシブさです。彼らがそれを目指したのかは分かりませんが、ある意味高い水準で成熟しているバンドにしか出せない音だと感じました。チルボドは暑苦しくてかなわんと思っている人はぜひ新作を聴いてみてください。


  • Dark Tranquillity / Construct
    正直言ってDark Tranquillityは苦手なんですよね。なんというかゴシックメタルのような耽美的な世界観が前面に出過ぎて、もはや私にはメロデスに聴こえません。高揚感もあまりなく、どこらへんをポイントに聴いたらいいのかよくわかりません。新作もそんな感じでした。ファンの人、すみません。