最近聴いた音楽

  • Dream Theater / The Astonishing
     これまでのアルバムとは異なり、一曲一曲のキャラがあまりたっていません。これまでのDream Theaterの作品は曲ごとに「テクニカル」や「ヘヴィ」「ポップ」、「前衛的」など明確にキャラがありました。この曲ごとにキャラクター付けは音楽をマニアックに聴いている層へ強く訴求していたわけです。音楽マニアは「あぁ、これはイエスのあの曲からメタリカって感じだなぁ」とか「ここのリズムはカウントしにくくて一瞬変拍子に聞こえるけど、実は普通に4/4なんだよなぁ」などと思って聴いていたわけです。曲の明確なキャラクター付けは聴き手の心の中のマニアックなツボを押される快感につながっていました。しかし、今回、Dream Theaterは純粋にメロディーと向き合い、それがもっとも引き立つアレンジをシンプルに施しました。たしかにテクニカルなパートやヘヴィなパートもありますが、それは結果的にそうなったというだけです。ユニゾンを聴かすために複雑な曲展開があったりということはありません。したがって、テクニカルなパートやヘヴィなパートの分量の割合はかなり少なく、また曲全体のキャラクターを特徴づけるような形で展開されません。今までの作品の中で純粋に音楽自体のよさを追求したアルバムだと思います。実際に、一曲一曲を取り出し丁寧に聴いていくと、このアルバムの質の高さを深く感じることになります。しかし、そのことを認めた上で、私はこれまでのマニアックな要素をわかりやすく展開してくれるDream Theaterの方が好きでした。新作のアプローチは結果的に曲のテンポを類似させ、振幅をおとなしいものにしてしまいました。このガツンとこない感覚は非常に物足りないです。

  • Thousand Eyes / Endless Nightmare
     リフはカッコいいわ、ギターのメロは泣きまくってるわ、ソロがみごとに構築されているわと最強でした。しかも王道のメロデスサウンドを守りつつ、曲のバラエティーも豊かでまったくアルバムの最後まで飽きさせません。ヨーロピアメロデスの理想像を提示しているといっていいでしょう。しかもクオリティは海外のバンドと比べてもまったく劣るものを感じさせません。むしろ、最近の欧州のバンド群はちょっと失速気味で、こういう王道のメロデスを追及しているバンドは少なくなってしまった上、一部のバンドを除いてクオリティが下がっている気がするので、日本からここまで素晴らしいバンドが出てきたことはヨーロピアメロデスを愛するリスナーにとってありがたくてありがたくてたまらないでしょう。日本のバンドならライブも比較的アクセスしやすいですしね。

  • Galneryus / Under The Force Of Courage
     まちがいなくGalneryusの歴史に残る一枚になるでしょう。コンセプトアルバムという形態をとったことによって、これまでで最もドラマティックで熱い作品に仕上がっています。RAISE MY SWORDからTHE VOICE OF GRIEVOUS CRYへの流れはカッコよすぎて鳥肌ものですし、THE FORCE OF COURAGEの構成とスケール感はすばらしいです。アルバムを聞き終わった後の満たされた感覚は、このアルバムがまちがいなく名盤であるからだと思います。Galneryusはどのアルバムも素晴らしいですが、この新作はそれら名作の中でも圧倒的な名作として評価されるものだと思います。