最近聞いた音楽

Powerwolf、Ghostあたりは注目株なんでしょうが、Youtubeで試聴する限り、あんまり好みじゃないんですよね。Sabatonも好きか嫌いかと言えば好きな方ですが、めっちゃ好きって程でもないのよね。

  • Veil Of Maya / False Idole
    前作の延長線上にありつつ、クオリティアップしています。音楽の密度が上がった分、ちょっととっつきにくくなったような印象はありますね。
  • Joe Bonamassa / Redemption
     一曲目のイントロがツェッペリンのRock'n Rollをほうふつさせますが、曲が始まると曲調は全然違います。グレン・ヒューズとBlack Country Communicationとかもやっていましたが、正直、あっちの音はなんだか子どもっぽいような感じがして、あまりいいと思えなかったんですよね。ジョー・ボナマッサはもはやストレートなブルースからはずいぶん距離のある音楽をやっていますが、それでもなおブルースのフレイバーをしっかり感じることのできる、このソロの方が全然いいなぁと思います。
  • Starbreaker / Dysphoria
     なんかこのバンドって昔はもっとモダンヘヴィネスとかの影響があったり、トニー・ハーネルの独特のメロディーセンスを感じることができたバンドだったように思うんですが、けっこう普通のメタルになってるんですね。悪くはない・・・というより、オーソドックスなメタルとしてはクオリティは高いし、歌はめちゃくちゃすごいんですが・・・ちょっとシーンに埋没している感じはありますね。
  • Within Temptation / Resist
     う~ん、これはメタルなのかな?少なくとも、一般的にイメージされるシンフォニックメタルの音では全くありません。ただ、ポップスというわけでもないんですよね。たしかにアレンジの行き届いた感じとかはポップスに近いんですが、楽曲の提示するスケールの大きさはシンフォメタル的です。が、シンフォメタルみたいなヨーロッパ的イメージは全くありません。むしろ未来っぽい。ただ、ブレードランナーみたいな未来ではなくて・・・あえていうならリュック・ベッソンフィフス・エレメントみたいなイメージかなぁ。クオリティは高い、ハンパなく高いうえ、メジャー感もあふれんばかりではありますが、メタル的なカタルシスはありません。
  • Devildriver / OUTLAWS 'TIL THE END-1
     ウイスキーが大好きなサザンロックテイストのグルーブメタルという方向性に、まったく迷いがありません。グリングリンうねつリフと野太いグロウルで、がんがんあおってきます。太ったひげ親父がハーレーでツーリングしているBGMに最高です(つまり最高ということ)。
  • Soilwork / Verkligheten
     なんか久々の新作という感じがしますが、昔はSoilworkというと音の壁のようにガーっとブラストビートとリフがあって、なんかRAGEみたいなメロディーが流れていくという印象がありましたが、新作はちょっと違っています。たしかに激しいブラストビートが鳴り響く瞬間もあるのですが、音楽に緩急がついて余白の部分が音楽の中で効果を発揮する場面が増えました。またリフとメロディーの絡み方も多様性が出てきた感じがします。The Nurturing Glanceなんかは、アメリカのバンドにもヨーロッパのバンドにもない個性的な雰囲気でありながらめちゃくちゃカッコよく仕上がっていると思います。
  • Born Of Osiris / The Simulation
     前作よりヘヴィネスとキャッチー度が下がっていて、つかみが弱い感じがします。聴いていくと、途中に魅力的な曲があることに気づくのですが、アルバムトータルも短いし、なんかアッサリしている感じがします。もっとこう、なんというかこっちの中に遠慮会釈なくグイグイ入り込んでくるアルバムがよかったなぁ。
  • Beast In Black / From Hell With Love
     キャッチー。とにかくキャッチー。でもちゃんとメタルしていて、もう最高に傑作です。買ったらしばらくコレばっかりになること必至のできです。メロディのセンスが80年代していますし、ソロはわかりやすく音がつめ込まれていて、昔ながらのメタルが好きな人なら悶絶するしあがりです。
  • Dream Theater / Distance Over Time
     前作がしょうもなかったのですが、新作は可もなく不可もなくという感じでしょうか。とはいえ基本的にレベルの高いバンドなので、彼らのアルバムとして可もなく不可もなくということは、ほかのバンドのアルバムと比べるとかなりいい出来ということ言うになるとおもいます。前作はとにかく音楽的にも起伏が乏しかったですし、演奏面でも引き込まれる場面が少なかったのですが、新作はそこらへんの問題はほぼすべてクリアされていると思います。ただ、目玉になるような曲やソロがないのはちょっと寂しいかな。
  • In Flames / I, the Mask
     In Flamesで人気のあるアルバムと言えば、初期のJester RaceとかWhoracleなんでしょうが、私が好きなのはReroute To Remainあたりのちょっとアメリカナイズされはじめたあたりの音だったりします。そんな私ですが、In Flamesのここ数作はさすがにちょっと地味すぎて通しでアルバムを聴くのはツラいなという感じでした。楽曲単位でとりだすと、なかなかクオリティが高いんですけどね。各楽曲イメージが似すぎなんですよね。で、新作ですが、ここ数作の中ではアルバム単位で通しで聴いたときに、一番いい感じのアルバムだと思います。やっぱり曲ごとのイメージは似ているんですが、メロディーのキャッチー度が上がったことで、曲ごとのキャラが立って、全体の起伏が入ってきやすくなりました。
  • Children Of Bodom / Hexed
     かつてのブチギレハイテンションな感じではないものの、十分テンションは高いです。ここ数作ちょっとダレてる感じがありましたが、新作では一曲目のハーモニクスを多用したリフからも、仕切り直して新しい気持ちでアルバムを制作しているような雰囲気を感じることができます。
  • Monuments / Phronesis
     これはすごい。きわめてギターオリエンテッドな作品でありながら、多彩なコードとトーン、アレンジ、コードヴォイシングを駆使して、表情豊かで洗練されたアルバムに仕上がっています。これだけギタープレイの引き出しが多いとギター弾いてて楽しいだろうなと思います。楽曲自体はメタル的ではあるものの、その背景にファンクやフュージョンなど、豊かな音楽的教養をかんじさせてくれます。ギターと同じくらい他のパートのレベルも高いです。ヴォーカルはアグレッシブなグロウルから、ファルセットを駆使したエモーショナルでアーバンな歌唱までこなしますし、ドラムは手数が多く空間を埋めるプレイも、ファンキーな跳ねるリズムもばっちりです。アルバム全体が強力にグルーブしていますが、このドラムなくして、このグルーブ感はあり得なかったと思います。各パート、ソロという形でテクニカルなプレイがスポット的に登場するのではなく、多彩なバッキングとフィルインの形で楽曲の隅々にハイレベルなプレイが散りばめられています。メロディーとかコード進行もハイセンスで、まさにプロの仕事という感じがします。
  • Rock Candy Funk Party / Groove Cubed
     これまではとにかくグルーブしまくりでしたが、新作はもうちょっと音楽的な間口が広がって歌入りの曲もヒットしそうな雰囲気になっていたり、ジャズ的な音使いがあったりといった感じです。まぁこれまでもそういうのはあったんですが、比率的にこれまでのアルバムほどファンキーではないよというところですね。ただ、こうして多彩な魅力を音楽がもつようになってくると、彼らの持つセンスの良さというかポテンシャルの高さがめちゃくちゃ武器になってきているなぁという感じがします。
  • Battle Beast / No More Hollywood Endings
     前作はぜんぜん好きになれなくて、形だけととのえて魂が全然入っていないアルバムだと感じたんですが、新作はちょっと違います。前作はやめたアントンの路線を自分たちも立派にやれることを証明しようという意図があったように感じたんですが、結局、彼らはアントンほどクリアなビジョンを持ってなかったので、なんとなく曲の方向性やアレンジは似てるんだけど、決定的にクオリティが伴っていないアルバムになっていたと思うんです。で、新作では彼らもちょっとそれに気づいたのか、時間がたったので地が出てきたのか、そこらへんはよくわかりませんが、とにかくサードまでの路線を引き継ぐことにはそれほどこだわりを感じませんでした。新作は音楽的にはちょっと目先を変えつつ、それほど違和感のない範囲に収めつつ、自分たちのうまくやれることをやろうという内容になっていると思います。ウィンガーのマイルズアウェイとかボンジョビのヒットしたやつみたいな方向性を大幅にいれつつ、サードまでのメタル魂のほとばしりは一定範囲に抑えるような感じになっています。無理して自分たちにはできないことをやっていないので、クオリティもかなり戻ってきています。ただ、ギター主導ではない感じはまだ残っていて、リフが弱いですね。
  • Animal Drive / Bite!
     ここらへんの音楽はめっちゃツボですなぁ。ハードロック、なんですが。たとえばPoisonとかWingerが活躍していたころって、ハードロックはけっこうキラキラしたイメージだったとおもうんです。ルックス的にも音的にも。ところが、それが90年代のオルタナがはやってくるころになると、ちょっとシブめでワイルドでブルーステイストが強めで音作りもヘヴィに、ルックスもヘアスプレーやメイクはなくなって、かわりにひげ面のモノクロ写真になったりしていたとおもうんです。ギターも空間系エフェクターバリバリからアンプ直結に。そのあたりの音ですね。PoisonでいったらCCデヴィルが抜けてリッチー・コッツェンが加入した音。WingerならPullあたりの音です。しかも、Voの歌唱力が半端なくたかいです。レンジも広いのですが、魅力はそっちではなくかすれたほどよくシブい声で、ソウルフル。心に響く歌ですね。
  • Eluveitie / Ategnatos
     フォークメタルってあんまり好きじゃないんですよね。特になんか音頭っぽい能天気でドンチャカドンチャカみたいなのの割合が多くなってくると、勘弁してくれ~となるわけですが、Eluveitieの新作はたいへん気持ちよく聞くことができました。確かに楽器構成など、フォーク要素はあるんですが、メタルらしいスマートなカッコよさの範囲の中でフォークっぽいアレンジがなされている点が大きかったですね。リフもかなりセンスがモダンで、メタルコアなどのエッセンスも感じることができました。コーラスのメロディーも成熟した感じで、フォークメタルうんぬんというよりは、普通にクオリティの高いメタルでした。
  • Lahmia / Resilience
    スタンダードなメロデスでありながら、そこにちゃんとオリジナリティを含めることができている点が素晴らしいです。世界観も作りこまれていてクオリティも非常に高い。ギターのメロディアスで耽美的なフレーズも素晴らしいですし、フレーズが作り出すドラマティックな雰囲気も音楽のスケール感を増幅していきます。ヨーロッパのメロデスは一時、停滞気味だったような感じがありますが、その雰囲気を払しょくするくらい高いクオリティを備えたアルバムだと感じます。
  • Nightrage / Wolf To Man
     男くさい野太いメロデスといういつもの路線に変更はありません。そしてNightrageのアルバムはいつも期待を裏切らない仕上がり。今作もばっちりいい感じです。ただ、新作を聴いて感じたのはInsidious以降のアルバムはどれも同じように感じていたのですが、実際はある程度バリエーションがあったんだなということです。たとえばPuritanは前作の枠組みを利用しつつ、ネタを挿げ替えた感じ。Venomousはリズムを少し落としてメロディを重視した感じ。Indsidousがめちゃくちゃクオリティが高かったので、以降のアルバムはちょっと印象が薄く同じように感じていたのですが、メロデスとしてはかなり質の高いアルバムだったと思います。しかし、しかしですね。新作はInsidousを超えないまでも、それ以降ではベストな出来ではないでしょうか。特にNightrageの素晴らしい点としてギターの存在感があります。テクニカルではない箇所でも、ギターのメロディーのセンスや太いうねりが強く訴えかけてきます。新作でもギターの切れ味がアルバムのクオリティに大きく貢献しています。