E-PM2レビュー

 E-PM2を購入して2週間ほどが経ち200枚ちょっと写真をとった現時点で、ボディのつくり、操作性、写りについて感想を書きたいと思います。

 まずボディの作りについて、E-PM2はE-PL2に比べて軽量、コンパクトになりました。一眼レフは写りはすばらしいもののボディが大きいため、気安く持ち歩くことができず、撮影するという行為に威圧感が生じるという問題があります。いいカメラも持ち歩かなければ、いい写真を撮ることはできません。また旅先で食べたものを撮影しておこうと思っても、食堂であまりにも大きなカメラを構えることは気後れを感じることがあるでしょう。E-PM2がコンパクト、軽量になったことによって、撮影者がカメラを持つことによって背負わなければならない負担はハイエンドコンパクトクラス程度にまで軽減されたと感じています。これほどコンパクトになってくると、今度は持ち運ぶための最適なキャリーケースや鞄が問題になってくるように感じました。これまでのエントリー一眼レフ向けのインナーケースやカメラバッグはE-PM2にはのきなみぶかぶかで、キヤノンPowershot Gシリーズあたりをターゲットにしたケースやバッグとなると、こんどはレンズ部分がうまく収納できないものが多いはずです。カメラを持ち運ぶためのサードパーティのアクセサリー類のさらなる充実に期待したいです。

 次に操作性について。これまで私はカメラのモードダイヤルの存在を大変重視してきました。というのも、私は基本的にPモード、絞り優先、Mモードを頻繁に切り替えて使用するため、それをダイレクトに変更できて、なおかつ物理的にどのモードになっているのかが分かるモードダイヤルを非常に重宝していたからです。そして私はかつてLumix GF2を一時期使っていたことがあり、そのときにはモードダイヤルがないことが非常にフラストレーションになることに気づきました。E-PM2 を購入する際に一番、気がかりだったことはこのカメラにモードダイヤルが存在しないことです。一方でカメラメーカーの事情としては、モードダイヤルの存在は初心者ユーザーに購入を躊躇させる原因になっているため、できればカメラからモードダイヤルをなくしたいということだと思います。このように考えると、カメラの露出を自分で設定し、積極的に絵作りを楽しみたいユーザーにとってモードダイヤルの存在はありがたいものであるのに対し、カメラのメカ的な部分について考えたくないユーザーにとってモードダイヤルは忌むべき存在だということが分かります。したがってE-PM2は積極的に絵作りをしないユーザー向けの商品であると考えるべきなのかもしれませんが、実際には撮影中MENUボタンを押したときの画面が非常によくできていて、モード変更が非常にやりやすいカメラでした。たとえばPモードで撮影中、Aモードに切り替えたいときはMENU→十字キー下でシャッターを半押しすればAモードでの撮影に入ることができます。モードは液晶に常時表示されます。ダイヤルで物理的に確認することはできませんが、まぁ妥協できる範囲だと言うべきでしょう。そしてタッチパネルは完全にOFFにすることができます。タッチパネルをつかった操作は誤動作が多く、私は好まないのでこれはありがたかったです。ボタンの数も適切で操作に不便を感じることはありませんでした。オリンパスのカメラはドラマチックトーンなどに代表される豊富なシーンモードが売りになっていますが、個人的にはあまり使う機会はありません。というより私はRAWで撮影するため、エフェクトが必要なときには現像時に適応します。ただMENU画面を呼び出したときにSCNモードから呼べるメニューの中にパノラマアシストがあることは助かります。パノラマ合成を多用する私にとってパノラマアシストモードを簡単に呼び出すことができることはありがたいです(ただOlympus Viewer2のパノラマ合成機能はちょっとショボいです)。SCNで一度パノラマアシストを選択しておくと次回からはSCNを選ぶと自動的にパノラマアシストモードに入ることができます。Pモードで撮影中にパノラマアシストをするときの操作はMENUボタン→十字キー左→シャッター半押しで終わりです。ボタンの機能を細かくカスタマイズできることもオリンパスのカメラの特徴です。現時点では撮影中のダイヤルのダイレクト操作はOFF(誤動作防止のため)、Fnボタンは露出補正、RECボタンはカスタムホワイトバランス、十字キー右はISO感度十字キー下はホワイトバランスが割り当てられています。撮影は常にJpeg+RAWです。ただこの設定だとPモードなどで撮影中、ダイヤルをまわしても露出が変化しないのでちょっともったいないかんじもするんですよね。そこらへんはこれから煮詰めていこうと思います。また撮影中にOKボタンを押したときにスーパーコンパネを呼び出す設定にしています。こうすることでカメラの設定を一括で把握したい場合はOKボタンを押すことで対応できます。ほかストロボのRCモード、リモートレリーズなどは上位機種とまったく同じように使えます。ここらへんをケチらないオリンパスは偉い。他社は下位機種だとホットシューが省略されていたり、リモートレリーズが使えなかったりしますからね。

 最後に画質について。オリンパスのカメラはこれまでパナソニック製の1200万画素の素子を使用していました。しかしOM-D/E-M5以降、ソニー製と噂される1600万画素の素子が使用されています。E-PM2でも1600万画素の同じ素子が使用されているということですが、この素子は従来の1200万画素の素子に比べ明らかに性能が向上しています。画素数が増えたにもかかわらず高感度でのノイズは目立たなくなり、色のくすみも抑えられています。さまざまな光線状態において鮮やかな発色を見せてくれます。またダイナミックレンジが向上したのか、色に深みを感じます。そして見た目の先鋭感が高まったことでよりシャープな画像が得られるようになりました。E-PM2がOM-D/E-M5に劣る部分としてボディ内蔵の手振れ補正があります。OM-D/E-M5には5軸対応の手振れ補正が搭載されているのに対して、E-PM2では従来と同等の手振れ補正しか搭載されていません。またそれに加え、ネット上ではE-PM2にはファームウェアのバグがあり、シャッタースピードが1/100前後で手振れ補正が悪さをして逆にブレた写真になってしまうと噂されています。私は手ぶれに関するこれら二つの問題を感じたことがありません。もともとオリンパスのカメラはISO1600まで使うという条件ではかなり手ぶれしにくいカメラでした。もちろんより低ISOで撮影したいという撮影者にはOM-Dのもつ5軸手ぶれはありがたい機能なのでしょうが、私は実用上の不満はありませんでした。さらにネット上の噂についてはその症状に私は直面したことがない以上、特にコメントのしようがありません。とりあえずこれまでの使用で不自然な手ぶれが発生したことはありません。ただこのように解像度が上がった結果、一部レンズでの色収差が気になるようになりました。特にひどいと感じているのはM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mmのワイド側です。たとえばこの画像。

P3300042

右端の方の灯籠のあたりを等倍に拡大してみるとこんな感じです。

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そしてこの画像も。

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バンパーとフロントホイールあたりを拡大するとこんな感じです。

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たぶんもともと色収差はあったと思うのですが、E-PM2になってから非常に気になるようになりました。この問題を解決するためにはOlympus VIewer2では色収差のR/Cを-80くらいに設定するとよいように感じています。またM.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mmも若干、ワイド側で色収差がでますね。こちらの最適な補正値は現在、研究中です。とりあえずこれまで画質にそれほど不満のなかったM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mmの画質にはちょっとがっかりしています。他方で付属していた標準ズームのM.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II Rは画質にまったく不満がありません(マウントがプラなのは不満ですが)。単焦点レンズのボケなどはむしろよく再現できるようになったと思います。なめらかなボケが再現できるのはダイナミックレンジが拡大し豊かな階調をカメラが表現できるようになった効果と言えるでしょう。こう考えるとE-PM2は画質があがった分、より高性能なレンズを必要とするカメラだと感じています。

 というわけで画質、操作性、周辺機器のサポートなどの点でE-PM2には非常に高い評価を与えることができると思います。現時点では私は購入して非常に満足しています。