DSC-WX10レビュー

 購入後、しばらく使った感想など。まず画質。あんまりよくないです。ソニーが作っている裏面照射型CMOSは1200万画素のバージョンがニコンCoolpix P300やペンタックスのPentaxQあたりに採用されていて、画質面でそこそこの成果をあげているわけです。その新しいバージョンが1600万画素のこのカメラの素子なわけですが、なんか普通のコンデジの絵になっちゃいました。感度が高くなると発色のくすみが強くなり、もやもやしたノイズっぽい絵になっています。チューニング不足か、まだデバイスの実装ががこなれていないのかよくわかりませんが、もうちょっと画質はがんばってほしかったです。通常の感度で撮影した場合も、彩度があげられているために、料理などの写真では妙にどぎつい印象の写真になりがちです。

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どぎつさを抑えるには彩度やシャープネスをチューニングすることもできますが、パラメーターをごちゃごちゃいじるよりもカラーモードを「標準」から「リアル」に変更してやるのが一番いいような気がします。ただし、ダイナミックレンジが狭いせいか、どぎつさはマシになっても画質はまったく向上しません。ちなみにシーンモードの「料理」を選んでも色の出方はかわりません。

 次に操作性、けっこうおどろいたのがこのカメラにはマクロモードがありません。特にマクロを設定しなくても最短からピントがあうようになっています。ただ、寄れるのはワイド端のみでワイド側は焦点距離が35mmフィルム換算で24mmとなっているため、かなり強いパースがつきます。ちょっと使いにくいマクロでした。

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背面にはモードダイヤル、十字キーと兼用のダイヤルがあります。シーンモード、スイングパノラマ、動画などはモードダイヤルで切り替えます。逆光HDRや手持ち夜景などCMOSの高速読み出し機能はシーンモードからアクセスします。スイングパノラマは180度のスイング、360度のスイング、カメラを縦に構える高解像度パノラマの三種類から選択することができます。非常によくできている機能で、うまく合成できなかったことはほぼありません。モードダイヤルにMがあることから分かるように、マニュアル露出ができます。シャッター速度と絞りを変更するのはダイヤルベースの合理的なものですが、部材が小さいため実際は操作性は悪いです。さらに絞りはちゃんとした絞りではなくNDフィルターで代用されているので、あまりマニュアルで露出する機能の使いどころがありません。まぁ月を撮るとかくらい?それにしては望遠側の焦点距離が短すぎますが。十字キーは上が液晶モニタの表示切り替え、右がストロボモード切り替え、下がセルフタイマー、左がドライブモードです。この十字切り替えの機能はカスタマイズできません。十字キーの機能がこのように割り振られているため、露出補正やホワイトバランス、ISO感度にはダイレクトにアクセスできません。ここは大きなマイナスポイントでしょう。それぞれのパラメータを変更するにはメニューを呼び出してやる必要があります。

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動画はハイビジョン撮影が可能で、MP4での保存も可能です。動画撮影機能はなか優秀で、画質もコンデジとしてはかなりいいです。ただ、連続撮影の上限29分制限がある点はちょっと残念です。充電は専用のバッテリーチャージャーはなく、USB経由の本体充電です。USBを本体に接続するコネクタがバッテリー蓋の横にあるのですが、これがかなり独自規格の端子なので電気店などで充電用ケーブルを買い増ししようとすると、純正を取り寄せる必要があります。ここもマイナスポイントと言えるでしょう。三脚穴はカメラのセンターからオフセットして取り付けられているため、三脚によってはバランスが悪くなります。ただし、三脚穴は金属製です。

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このカメラは基本的には初心者をターゲットにしたカメラで、ごちゃごちゃ自分で設定をいじりたい人向けではないです。そもそも、このカメラではごちゃごちゃ設定をいじったところで、それほど写真がよくなるわけではありません。ホワイトバランスもISOも露出もみんなオートでただシャッターをきるというような使い方があっていると思います。動画もそこそこきれいに撮れますし、焦点距離も24mm-160mmという実用本意の設定です。あまり高望みせず、割り切って使うと満足感があるカメラだと感じました。