最近聴いた音楽

  • Nile / At The Gate of Sethu
    Nileの音楽は志は高いんだけど、なかなかそれが分かりやすい魅力として結実しない感じを強く受ける訳ですが、新作も微塵もキャッチーになることがありませんでした。古代エジプトをダークな解釈で描き出す世界観、プログレッシブな曲展開、殺傷能力の高いリフとそれにバッチリ合致したギターサウンド、タイトでテクニカルな演奏など魅力は多いんですが、それが合わさるとかなりとっつきにくい音楽になるんですよね。リフでグイグイくる感じが好きな人にはプログレッシブな展開がどうも勢いを殺すように感じられるのではないかと思います。プログレッシブなサウンドが好きな人には、ドラマティックな曲展開やここぞという箇所で耳に残るメロディーがあることを期待する訳ですが、ベースがデスメタルなだけにそれほど起伏のある曲展開やメロディーを期待できない訳です。せめてメロデスがベースだとここぞというところでギターが泣きまくるとかも可能だったんでしょうが、Nileの場合、そこで出てくるのは古代エジプトエスニックサウンドです。起伏はない訳ではないんですが、メロウなパートは美しいというよりはエスニックで淀んだ感じです。そんなわけで、なかなかにディープなサウンドになっています。エスニックサウンドをメタルに取り入れるっていうことなら、台湾のCthonicの方がうまくやってるように感じますね。あっちはブラックメタルだけど。とはいえこのソリッド感あふれるリフワークなどはNileにしか感じられない魅力であり、その部分は確実に底上げされています。まぁ個人的にはリフをもうちょっとじっくり聴かせてくれるようなシンプルな曲で聴きたいというのも偽らざる気持ちなんですが・・・。


  • Veiled In Scarlet / Idealism
    まぁこのバンドについては私がごちゃごちゃ語るまでもないだろうという気もします。一応、説明しておくとクオリティが超絶に高いメロデスバンドだったSerpentのギタリストの新しいバンドのファーストアルバムで、期待に違わぬ魅力的なメロディックデスメタルアルバムです。内容的にはさすが日本のバンドといいたくなるウェットな泣きのメロディーがこれでもかと畳み掛けてきます。ギターも音数が多くアルバムを聴き終わったときの満足感たるやハンパありません。アルバムを聴いていてもなにがなんでもいいものを作るぞという意気込みを感じるとともに、ファーストアルバムならではアイデアを詰め込んだフレッシュさを感じることができます。日本のバンドを紹介するときにはいつもこれを言うんですが、流通がもうちょっとなんとかならんもんですかね。2,000円オーバーの価格設定、ダウンロード販売なしという状況では、せっかくいいものを作ってもリスナーにまで音が届きにくいわけでうんざりします。とりあえず音の方は間違いありません。