最近聴いた音楽

  • The Resistance / Scars
    In Flamesのイェスパーと元The Hauntedのマルコのバンドということで、非常に期待されていたバンドでした。とはいえマテリアルは小出しにされていて、このアルバムにも収録されている“Eye For An Eye”とかはけっこう前にフリーダウンロードになっていたように思います。その先行公開されていた音源でだいたいの方向性がつかめていましたが、アルバムとして改めて聴くとThe ResistanceはIn FlamesやThe Haunedの延長線上にあるバンドではないなぁと感じました(まぁあえて言えばThe Hauntedの方が音が近いかなぁ)。アルバムを聴いて印象的なのは、ブーミーな独特のディストーションサウンドと、猪突猛進型で野太いリフオリエンテッドな曲調です。かつてのIn Flamesで聴くことができた美しく繊細でテクニカルなギターワークを期待すると肩すかしをくらいます。実際、ソロらしいソロはアルバムを通してほとんどなかったような。ただサビになると、ギターがハモって印象に残る展開があるので、やたらめったリフで埋め尽くされるアメリカンなデスメタルとも違います。このギターのハモりが従来のイェスパーのセンスを感じることができるポイントです。そのようなパートはアルバムの中でそれほど多くはありませんが、この要素がこのアルバムに単純なリフオリエンテッドデスメタルではない価値を与えています。これまでのメロデスは、どちらかというとテクニカルで様式美的な感性を備えたメタルファンをターゲットにしたものが多かった印象がありますが、よりグローバルなマーケットで受け入れられる方向性をアメリカナイズされない仕方で見せてくれたという意味では重要なアルバムでしょう。

  • Heaven Shall Burn / Veto
    このバンドのサウンドから独特のドイツ的な厳格さというか、硬質な印象を感じます。新作ではそのサウンドの方向性はそのままに表現がさらに豊かになり、世界観に広がりがでました。一曲目はハモりを交えたリフが印象的で、ヘヴィなサウンドでありつつ、非常にとっつきやすい曲になっています。それ以降の曲もイントロから期待感を高める雰囲気たっぷりで、1曲目からのテンションがまったく衰えません。かつてのアルバムでは音圧の高さばかりが印象に残ることがありましたが、新作は押しの強いサウンドが豊かな表現力を伴って押し寄せてきます。カバー曲は出来が悪い訳ではないのですが、全体の中では変にメロディアスで微妙に浮いているような・・・。Blind Guardianは好きなバンドだったんですが、今の音楽のスタンダードからすると古いセンスだったんだなと思いました。ラストから2曲目のバラード、“Beyond Redemption”は彼らの表現力の成長が感じられる名バラードとなっています。これは今年リリースされる作品の中でも、かなり上位に食い込む名作なのではないでしょうか。