最近聴いた音楽

  • Shadows Fall / Fire from the Sky
    ここ2作ほどのShadows Fallのアルバムは、決して悪いわけではないにも関わらず、妙に印象が薄い作品でした。“Threads of Life”なんかiPhoneに入れてから、いつのまにか聴かなくなっている状態に1週間たたずに達してしまったように思います。そう考えると“War Within”あたりのころのガツンとくる感じはどうなったんだと思っていたら、新作はなかなかインパクトのある仕上がりでした。特に2曲目のドラムとギターのシンクロするリフは気持ちよくてインパクト抜群です。とはいえ1曲目の高速ギターリフ~2曲目のリフという流れがなければ、これほどのインパクトがあったかどうかあやしいです。ようするにShadows Fallは新作も含めてここ数作のアルバムをあまり攻めていない巡航モードで制作しているんだと思いますね。彼らはアルバムに仰々しいイントロをつけたりせず、あくまでもライブの素材としての質を追求しているのだと考えるべきでしょう。たしかにライブでは鍵盤楽器の有無、テープの有無はライブの感触に大きな変化を及ぼす部分です。とくにテープで流す部分があると、私はライブではシラけてしまいます。そういう意味ではシンプルなShadows Fallサウンドはの意図は理解できます。しかし、それが作品としての完成度を期待するファンの多い日本のマーケットのニーズと合致しているのかは疑問ではありますが。というわけで新作はここ数作のなかではベスト、でも“War Within”ほど攻めてないよ。という評価になるかと思います。

  • Overkill / The Electric Age
    安心・安定の老舗スラッシャーOverkillですが、新作もまったく期待を裏切らない仕上がりです。禍々しくソリッドでスピード感のあるリフがますます研ぎすまされる方向で新作は作られています。まぁ前作“Ironbound”との違いをあえて言うなら、前作は様式美的でスリリングなかっこよさ成分が微妙に強め、新作はOverkillらしいシニカル成分が微妙に強めといった感じではありますが、あくまでも誤差です。あとシンバルのアレンジがかっこよくなったと思うんですが、細かすぎでしょうか?昔からこのバンドはスラッシーでありながらギターソロの扱いが非常に巧いバンドで、曲のなかで雰囲気を変えメロディの要素を強く感じることができるパートとしてギターソロに独自のポジションを与えてきたように感じます。ながい活動にも関わらず、血管がブチ切れそうなハイテンションを維持し続け、ハイクオリティのアルバムを作り続けてくれているOverkillに感謝です。最近のメロスピや正統派HMバンドに欠けているのは、このテンションで、音楽の様式やクオリティをあげてもテンションが低いと駄作になるということが分かっていないバンドが多すぎです。Judas Priestの“Painkiller”やRiotの“Thunder Steel”がそれを証明しています。“Thunder Steel”なんか、最近の凝ったメタルからしたら曲は単純だし、サウンドプロダクションはショボいし、太刀打ちできないはずがテンションの高さですべてをカバーしてしまっています。Overkillはジャンルこそ違えど、かつての正統派メタルがもっていたテンションの高さという素晴らしい要素を持っています。個人的にはこれだけでも感動的です。