最近聴いた音楽

  • Dragonforce / Maximum Overload
     いつになくシリアスなオープニングですが、そこから始まるのは基本的にはいつもの感じです。テンションマックスな演奏とメジャーとマイナーを行き来するメロディー、若干能天気なサビが奏でられます。普通のバンドがこのメロディーをやると間抜けっぽくなるところですが、ドラゴンフォースの圧倒的な音の密度によって、そこそこカッコよく聞こえるのがポイントです。初期の彼らは演奏に人間味があまりなく、速弾きもなんだかシーケンサーで打ち込んだように聴こえたのがもひとつですが、一作ごとに標準的なメタルファンにも訴求できる有機的なサウンドになっていったように感じます。新作は能天気な雰囲気は彼らとしては抑え気味で、その結果、新作のサウンドは間違いなく普通のメタルファンでも受け入れることができる、スタンダードなメタルらしさがあると同時に、充実したインストセクションを楽しむことができるものになっています。彼らの芸風を逸脱しない範囲で、若干シリアスなな方向に振った作品を作ってきた感じですね。悪くないと思います。
  • Whitechapel / Our Endless War
     このバンドは初めて聴きました。Lamb Of Godにちょっと似てるね。LoGからサザンっぽさを抜いてうねり感を盛った感じですかね。ギターのリフはうねりまくってる上、ドラムは野太いリズムをかなり細かく刻んできます。ヘヴィなリフにドスの効いたグロウルで、圧倒的な重量感のあるサウンドです。とにかくサウンドはデカくて重いものが力まかせに動いてる感じがスゴいです。一応、サビになるとギターがメロディーを奏でるんですが、キャッチーな要素はほぼなく、常に低音がゴゴゴゴッっと響いています。ただ、ちょっと一本調子のようにも感じるので、たとえばイントロを工夫するとか、ソロで一瞬ギターがメロディアスになるとか、フックになる要素はもうちょいあってもいいのではと思いました。

  • Mishell Ndegeocello / Comet, Come To Me
     一曲目はカッコいいサウンドで始まりますが、それ以降はオサレ度の高いソフトでメロウなサウンドになります。今まで彼女のアルバムはファンクをやるとか、ジャズっぽくとか、方向性をけっこう明確に感じるものが多かったんですが、新作(の2曲目以降)はあんまりなんも考えず素直に作った感じです。暖かな音像とスタリッシュなフレイバーが両立していて、非常に心地いいサウンドです。都会的といえば都会的なんですが、80年代的なぎらぎらした感じはなく、リベラルで知的という意味でより現代的な都会的サウンドに仕上がっています。

  • Sonic Syndicate / Sonic Syndicate
     前作はキャッチー&ポップを極めたようなサウンドだったわけですが、それ以降メンバーチェンジなどもあり、メンバーショットなどを見ても雰囲気がずいぶん変わりました。音楽の方向性も前作とはうって変わって、ヨーロッパ的な普通のメロデスに近づいています。ただ、そうなると今度はインストパートのそっけなさが、非常に気になります。これまでの音楽であればギターソロがなくても、別にまぁそういう音楽だしという感じで受け入れられたんですが、新作ではやっぱもっとギターに前に出てきてほしいなと感じます。まぁあと演奏が全体的に軽いんですよね。これも今までの音楽だったら、むしろ垢抜けた印象になってよかったんですが、新作の方向性で行くならやっぱりもうちょっと演奏に重量感や粘りが欲しいです。まぁこのバンドは全体的に薄味なんですよね。