M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6レビュー

 さて、購入後そこそこ使用したのでM.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6をレビューしてみようと思います。MTF曲線などは個人で計測しても正確なデータが出ないので、こちらを参照してください。そういったデータでは見えない使用感をぽつぽつと。まず写りは非常にいいです。ズーム全域でコントラストが高くシャープでシャキッとしたイメージの画像を出力します。描写の傾向は絞りをかえてもそれほど変化しません。しぼってやってもそれほど画質が向上しないので、Pモードで使っていればいいような感じです。歪みはワイド側では少しありますが、JPEGで出力したときは、まぁまぁ気にならない程度に補正されます。35mmフィルムで28mm相当の14mmや35mm相当の18mmあたりでは良好に補正されており、パンケーキのLumix G 14mm/F2.5 ASPHやM.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8あたりより歪みは目立ちません。それでなくてもボケないマイクロフォーサーズな上、広角レンズでボケが問題になることはあまりないかもしれませんが、テレ側では自然なボケがあり悪くなかったです。歪みとぼけの両面でLumix G 14mm/F2.5 ASPHやM.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8という二本のパンケーキ単焦点には勝っていると感じました。また賛否両論のある手動の沈胴機構ですが、私はそれほどめんどくさいとは感じませんでした。むしろコンパクトに持ち運べる利便性と、沈胴機構が暴発しない安心感を積極的に評価したいです。見た感じセットの標準ズームと同じような作りですが、セットの標準ズームのスカスカのズームリングとは異なり、ズームリングの感触はねっとりした高級感のあるものになっています。

 このレンズの直接的なライバルはLUMIX G VARIO 7-14mm/F4 ASPHになるかと思います。こちらのレンズをもっていないので断定はできませんが、純粋に画質だけを見た場合、LUMIX G VARIO 7-14mm/F4 ASPHのほうが上だと感じました。その上、通しでF4の明るさ、広角側でより広い画角が使えるなど、スペック的にはLUMIX G VARIO 7-14mm/F4 ASPHのほうがよいということになるかと思います。ただ、難しいのはLUMIX G VARIO 7-14mm/F4 ASPHはあまりバランスのよくないレンズだという点です。価格は高く、固定式のフードにかぶせ式のキャップなど非常にハイエンド志向です。単純に画質を追求するならAPS-Cやフルサイズなどのより大きな素子を用いたシステムを利用するという選択肢もあります。マイクロフォーサーズを使うということは画質を一定あきらめても手軽さを追求したいという意図があるはずです。そうだとしたら、LUMIX G VARIO 7-14mm/F4 ASPHは選択肢として微妙だと思います。たとえばニコンのDXフォ-マットのシステムをメインで使っていて、マイクロフォーサーズをサブで使用している場合、10万円程度の予算と、それなりのサイズをレンズを持ち運ぶエネルギーがあるなら、LUMIX G VARIO 7-14mm/F4 ASPHではなくAF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G EDを買った方が満足感が高いと思います。手軽なシステムで十分ということでマイクロフォーサーズを使っているなら、LUMIX G VARIO 7-14mm/F4 ASPHは持ち運びにストレスを感じるはずです。マイクロフォーサーズの立ち位置を考えた場合、M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6の価格とサイズ、画質は非常にウェルバランスです。というわけで、総合的な観点から見て、M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6のバランスのよさを積極的に評価したいと思います。

私が撮影したM.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6のサンプルはこちら