Coolpix S8100レビュー

 さて、COOLPIX S8100を購入してしばらく経ったのでレビュー。結論から言うと、私は非常に満足しています。とはいえカメラの用途はひとそれぞれ。私のレビューをよみつつ、自分の用途にマッチするか検討してみるのもよいのではないでしょうか。ではまず良いところから。

 なにがいいって画質がいいです。高倍率ズームのレンズがついたコンパクトデジカメといえば、歪みや色収差、甘い描写に泣かされるものです。しかし、このカメラはおそらく撮影画像を内部的にソフトウェアで補正しています。そのためJpegの画像になった段階では歪みや収差はほとんど気にならないレベルまで補正されて出力されます。さらに描写ですがレンズの解像力もひと昔まえにくらべると向上しているのでしょうが、そこにソフトウェアによる補正が加わり出力される画像はおどろくほど細部まできっちりした写りになっています。ただし等倍率で画像を見るとCMOSっぽさはあります。全体としてみた時の画質がいいっていうのが正確な表現かと思います。

 次によいのがクイックな操作体系。AFはコンデジとしてはかなり高性能、夜景モードなどへも上部ダイヤルでサクッと設定できます。

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各ボタンにどのような機能を割り振るのかも、かなり洗練されてきてシンプルかつ手際よく意図をカメラの設定に反映することができます。十字キーがダイヤルになっているのもポイントが高く、露出補正をする際に十字キーを何度も押す必要がありません。

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 ワイド側で最短1cmまでよれるマクロ機能は強力です。マクロ時でもAFの性能は必要にして十分なレベルにあります。売りにしている暗所撮影機能も強力で、ISO感度が高くなってもノイズは少なく、高速連写も利用できるのでかなり夜景の撮影が楽になりました。さらに手ぶれ補正は光学式と電子式が併用されており露出4段分も補正することが可能です。(ただしデフォルトでは電子式手ぶれ補正はOFFになっています)暗所での手ぶれ補正対策もぬかりありません。以上、よかったところでした。

 他方で、もうちょっとここがよければなぁという所もありました。まず三脚穴の位置です。かなり偏った位置にあるためコンデジ用のミニ三脚では非常のバランスが悪く心もとないです。

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 また充電方法が特殊で、単体の充電器がついてくるのではなくUSBポートに本体を接続して充電するというiPhoneとかと同じ方式が使われています。この方法自体の是非は微妙です。一度の撮影枚数が大量で複数のバッテリーを使い回すタイプの人は単体の充電器方式の方がいいでしょう。私も一眼レフとかだと断然こちらの方法がいいと思います。しかし、常に持ち歩いてちょっとずつ撮影するような場合、数枚とってはパソコンへ画像を吸い出すことになります。USBケーブルでカメラとパソコンを接続したときに充電される方式の場合、ファイル転送中に勝手に充電されます。これはこれで便利です。さらに私の移動する先にはたいていバスパワーのUSBポートがあるので、充電器がなくてもUSBケーブルさえあればどこでも充電できます。ただ、問題なのはカメラ側のUSBポートの形状がかなり特殊なことです。ミニ8ピン平型と呼ばれるタイプだと思います。たぶんこのケーブルとかが対応しているはずです。カメラ側のUSBポートの形状が特殊なため、このカメラだけのためにわざわざUSBケーブルを用意しなければいけません。もう少し汎用性の高いUSBポートが使われていれば、ほかの機器とケーブルを共有できたのにもったいない話です。

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 私は上でクイックで整理されている操作体系をほめましたが、一点だけ気に入らないところがありました。それはマクロモードのON/OFFの方法です。露出やISO感度、ストロボの発光モードなどは複数のパラメータがあります。それゆえそれぞれのメニューを呼び出し、値を設定し、OKをおすという手順が必要なのは分かります。しかしマクロに関してはONとOFFのふたつの状態しかありません。それならマクロボタンでONとOFFを行ったり来たりできるようになっているのが便利だと思います。それだとワンステップでマクロのON/OFFを切り替えることができます。しかし、このカメラのマクロボタンはマクロメニューがよびだされます。メニューでONとOFFのふたつの値のいずれかを選びOKを押すことでマクロのON/OFFを切り替えます。この方法だとマクロのON/OFFに3ステップ必要です。露出やストロボの発光モードと操作体系を統一するという意図は分かりますが、ここは例外を認めた方が使いやすいのではないでしょうか。

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 さらにバッテリーの残量表示があまり親切ではありません。まず満タン時、満タンの表示が出ません。バッテリーの表示がでない場合は満タンと考えてくださいということです。バッテリーの表示が出るのは残量が半分になったときです。さらに半分の次は残量がほとんどない状態の表示になります。つまり3段階表示なわけです。もう少し細かいステップがあったほうが使いやすいと思います。しかも満タン時に表示しないという表示方法もどうかと思います。

 夜景連写をマニュアルで選択できない点もちょっとひっかかりました。夜景モードにしたとき、液晶の左上に緑色のアイコンがでると連写合成機能を使って撮影が行われます。できれば夜景モードのメニューで夜景合成機能を「ON/OFF/自動」から選べるようにしておいて欲しいです。

 最後にちょっと驚いたのですが、このカメラはバッテリーとSDカードをいれるスロットの蓋がひらいた状態でも電源をいれることができます。怖くて試していませんが、下手したらSDカードにデータの書き込みや読み出しが行われている最中にSDカードを抜いたりすることができるのではないでしょうか。バッテリースロットをあけている時は電源が入らないようにしておいて欲しいです。以上で、私がこのカメラについてちょっとマイナスだなと感じた点はおしまいです。最後にほかの人なら問題点だと思うであろう箇所についてや、こういう機能が欲しいという話をしておしまいにします。

 まず画角が30mmスタートなところです。広角側では1mmちがうだけでかなり遠近感に差がでます。28mmスタートのカメラが標準的になる中で、30mmスタートなのはちょっとひっかかるでしょう。実際、28mmと比較すると若干、パースがよわいように感じますが、気のせいのような気もするしというわけで、私にとってはそれほど問題ではありませんでした。

 次にマニュアル露出ができない点です。とはいえコンデジの場合、絞りを開いたからといってそれほどボケるわけでもありませんし、絞りを絞ってもそれほどシャープな絵が得られるわけでもないですし、あってもなくても一緒かなと思います。どちらかというとマニュアルで設定したいのはフォーカスで、AFは高性能でもテレ側だとどうしてもピント合わせに手間取ることがあります。せめて最短に固定できる機能があれば便利だなと思います。

 最後にこれは私だけなのかもしれませんが、この手の高倍率ズームを搭載したカメラにはステップズーム機能をつけて欲しいです。ズームレバーで液晶をみながら画角を調整するとズームをいったりきたりしてなかなか意図した画角に設定できないことがあります。しかもズームレバーでの画角の設定に迷った後など、自分がだいたい何mmあたりで撮影しているの分からなくなってくることもあります。ステップズーム機能があれば、そういった問題を一挙に解決できるのになと思いました。