ひさびさに休みだったので映画を見た

 今日は休みだったので、久しぶりに映画を観ました。観たのは『BABEL』日本人キャストがアカデミー賞を取ったことで有名になった作品です。たしかに演技はなかなかのものでした。ただ、気になったこともあります。

 タイトルを『BABEL』としてしまった時点で、ある種テーマは最初から提示されているともいえます。こういうのはネタバレとはいわんだろうけど、観ている側はある程度テーマを前提して観ることになります。旧約聖書の中では人間の傲慢に怒った神様によって人間が築いた塔は破壊され、人間は別々の言葉を話すようになります。ということは、作品中でもなんらかの傲慢さがあって、それに対する報いがあって、しかもメキシコ、モロッコ、日本で同時進行で話が展開していくということは言語や意思疎通の問題がからんでくるのかなと思って映画を見てしまいました。そこまで単純ではありませんでしたがしかし、思っているほど作品中にちりばめられた要素は活かされていなかったように思います。逆に印象的なのは丁寧な心情描写だったりしまいた。となると、こっちが期待しているものと、実際に表現されているものの間にギャップが生じてしまいます。

 そうなってしまう最大の原因は、最初からテーマが開示されているため、無意識的にそのテーマにそって作品を鑑賞しようとする態度をこちらがとってしまう点にあるように思います。結局、鑑賞した後考えることはブラッド・ピットケイト・ブランシェット演じる夫婦の確執や最初と最後で流れる電話のメッセージ(ヤドカリの話)などがテーマとどうかかわっているのかという細かな点だったりしました。せっかく丁寧に登場人物の心理を描いたのですから、それについて鑑賞者が考え、ゼロベースで解釈しテーマへとたどりつく余地を残すことをしておいてもよかったのではないでしょうか。そういう方法では誰一人テーマを理解してもらえないと、監督は考えたのでしょうか。その自信のなさのあらわれがテーマもろばれのタイトルなのだったとしたら悲しいなと。