最近聴いた音楽

  • Lamb of God / Resolution
    Lamb of Godのアルバムは、どうもとっつきにくい印象がありました。しかし、新作では一曲一曲のキャラクターが明確になったことで、聴きやすさがアップしたように感じます。とはいえ決してキャッチーになったわけではなく、フィードバックする轟音ギターと地底から響くような凄まじい咆哮というこれまで魅力はそのままです。ヴォーカルのすさまじいデスボイスが話題になることが多いLamp of Godですが、ギターサウンドもかなり個性的で、よく歪んでいるだけではなく、どことなくブーミーでディストーションというよりはオーバードライブっぽいような感触も独特だなと感じています。Lamp of Godから感じるちょっとサザンロックっぽい雰囲気は、このギターサウンドによる部分が多いのではないでしょうか。サウンドの方はこれまで以上に非常にソリッドで生々しい音です。スローでグルーヴィーな導入部からフィードバックするサウンドをバックにドラムロールが鳴り響くアルバムのオープニングはドラマティックですが、キーボードの音はまったくなく、ギターとドラム、ベースによって曲の緩急が作り出されます。一部、ストリングスやクワイヤが実験的に導入されている曲がありますが、それ意外は徹底してロックバンドの最小限の構成で作れる音像がライブ感たっぷりに迫ってきます。そのなかで光っているのは、やはりシンプルでありながら扇情力の高いギターリフです。最近はサビのメロディーやシンフォニックなアレンジで聴かせるバンドが多いなか、ロックがもつ原始的なエネルギーを感じることができるアルバムでした。

  • Blessed by a Broken Heart / Feel The Power
    とにかくキャッチー、ギターはフラッシーというケレン味たっぷりの作品です。これまで彼らの作品もそうでしたが、いよいよ完成度が高まり洗練されまくってます。ただ、その高度なセンスをもって描かれる世界は田舎のヤンキーの感性丸出しっていうあたりがまた魅力的です。チェイサーをフルエアロ、ローダウン、インチアップの世界ですな。アルバムジャケットもトゲトゲのこん棒をもってハーレーにまたがって、北斗の拳のザコ敵キャラみたいなカッコをしています。「ヒャッハー、その井戸を奪えーっ!」とかホントに言いそうです。普通にこれをやると、ダサくてダサくて目も当てられないのですが、本人たちもちゃんとネタをネタとして演出しているので、その世界観のどこが魅力的で、その魅力をどう見せるとかっこいいのかっていうのをしっかり考えてやっています。だから時代錯誤感や田舎臭さを感じることはありません。まぁベジタリアンでマックユーザーのリベラルなニューヨーカーは眉をひそめるでしょうが。素朴なロックの場合、完成度が高まるとそのバンドが持っている本来のエネルギーやパワーが伝わりにくくなることがあるわけですが、彼らのようなポップス的手法でロックを演出するバンドはサウンドプロダクションの向上やプロモーションビデオの画質向上はストレートに作品のクオリティアップにつながります。そういうテクノロジーマーケティングをしっかり使いこなすあたりは、前時代的なように見えて、イマドキのバンドです。そういう援軍も得つつ、これまでの経験も生かされた非常に聴きやすい、そして聴いている間は日常の些末なことを忘れさせてくれるディズニーランド的なアルバムでした。

  • Nightwigh / Imaginaerum
    Nightwishといえばこれまでオペラ的なエッセンスを取り込んだシンフォニックメタルっていうイメージでしたが、今作はどちらかというと演劇的なシンフォニックメタルという感じがします。ヴォーカルが前作の時かあたりに変わった訳ですが、新しいヴォーカルは芸風が豊富でいろんな役柄や雰囲気を使い分けることができるようです。「お姫様っぽく歌って」とか「邪悪に歌って」とかいうと、そういう風に歌える人ですね。歌は前任者のほうがうまかったかもしれませんが、Nightwishっていうバンドには新しいヴォーカルの方があっているように感じます。ヴォーカルの芸風使い分けのおかげで、曲のスタイルやアレンジも多彩になり、一曲ごとに新しい世界を見せてくれます。シンフォニックメタルっていうと、ドラマティックさをそのままバンドの魅力としてしまうバンドが多い訳ですが、このバンドはドラマティックさを曲の一部として消化しているという部分で、ほかのシンフォニックメタルバンドよりワンランク上の音を出しているように感じます。ただ、まぁいかにもシンフォニックメタル的な音楽を期待している人には、ちょっと期待はずれかな?