最近聴いた音楽

  • Cain's Offering / Stormcrow
     メロスピとしては非常に手堅い内容です。荘厳で勇壮なメロディー、スピード感などメロスピに期待されることがらを網羅しつつ、完成度を高めるという方向はまちがいありません。またメロスピにありがちなクサイいメロディーもないことはないのですが、完全にメジャー感がまさっています。変に実験的なことをしないことが、このジャンルにおいては勝ちパターンということでしょうね。


  • Unleash The Archers / Times Stands Still
     カナダの正統派メタルバンドで、女性ヴォーカル。女性ヴォーカルは非常にパワフルで昔のライオットのマーク・リアリみたいに聴こえたり、かつてのロブ・ハルフォードっぽかったり、ちょっと細いかなという感じだったりをいったりきたりましす。方向性としてはBattle Beastあたりと近いんでしょうが、このバンドはグロウルがあったり、ヴァイキングっぽい味付けがあったりで聞いた印象はちがいます。なんというかBattle Beastの方が曲がコンパクトに整理されてきらびやかな感じがありますね。以前はちょっとB級感があったんですが、新作はB級っぽい雰囲気はほぼ払しょくされました。ギターサウンド真空管っぽい歪みでクラシックなんですが、サウンド全体はあまりクラシックな雰囲気はありません。ツインでハモるメロディーや「オイッ!オイッ!」という掛け声が胸を熱くします。このアルバム自体は素晴らしい出来ですし、一方でまだまだ成長の余地を感じさせてくれるので、今後が非常に楽しみです。

  • Chon / Grow
     プログレってバリエーションが増えすぎて、音を聞くまでなかなかバンドのキャラが分かりにくいですよね。このバンドは個人的にはフュージョンの要素を強く感じます。クランチでクリーンなギターサウンドも抜群に素晴らしく、カッティングのセンスもカッコよすぎてヤバいです。Animals As Leadersみたいにアイデアがちりばめられたような感じではなく、複雑なコードやメロディーがひとつの楽曲のなかでしっかりとまとめ上げられています。完璧なプロの仕事ですな。

  • Stratovarious / Eternal
     これは素晴らしい。ジャンル的にはメロスピなんですが、もはやそういうジャンル分けをすることが意味をなさないほど完成度が高く、幅広いリスナーに受け入れられる要素を持った音楽になっています。こういうとメロスピの定石を外した実験的な要素でもあるのかなと思う人もいるでしょうが、それはまったくありません。メロディーやアレンジなどが洗練されまくっていて、クオリティーの高さによってジャンルの壁を越えていく、そんなアルバムです。


  • Five Finger Death Punch /Get Your Six
     彼らも迷いがないバンドですよね。これまでと音楽性に微塵の変化もありません。彼らのリフってよく聞くとLAメタルのバンドとかがやっててもおかしくないような、キャッチーでノリノリな感じなんですが、ちゃんとヘヴィなのがすごいです。とはいえ新作はこれまでの作品と比べると、ちょっと全体的に地味な印象をうけました。ただクオリティ自体は別にこれまでと比べて高くもないですし、低くもありません。やるべきことを淡々と続けているという感じですね。派手なヴィジュアルですが、実際は地道なバンドなのかもしれません。

  • Iron Maiden / The Book Of Souls
     Judas Priestとちがって衰えない現役感がなにより素晴らしい。ただ、今、メイデンのサウンドを聴くとギターの音がほんと真空管マーシャルそのまんまなにびっくりです。昔はレインボーとかとくらべてギターサウンドがモダンだと思っていたのに、今聴くと古臭いギターサウンドですよね。コード進行やメロディー、リズムもシンプルで、一つのキーに解決するコードやメロディーばかりですし、変拍子もありません。耳コピしやすそう。これだけシンプルなボキャブラリーで構成された音楽であるにも関わらず、単調にならず起伏に富んだサウンドを作り出していることは驚きに値するでしょう。ボリューム感もたっぷりで、まだまだメイデンは現役なんだなと感じました。でもライブになると過去のヒット曲メドレーになっちゃうから、新作からは2曲ほどしかやらないんだろうなとおもうと、ちょっともったいないですね。