最近聴いた音楽

  • TesseracT / Altered State
     う~ん、この音の感じを表現するのは難しいなぁ。霧がかかったようなスペーシーサウンドとでもいえばいいのでしょうか。そのうえにメタルっぽくない温かみと透明感のあるヴォーカルがのります。非常にメロディックな音楽ではあるのですが、単純にキャッチーというわけでもないんですよね。ムーディーなサウンドなのでサックスなども自然に音楽に溶け込んでしまっています。ヘヴィなリフも奥行きのある音像のなかで残響するようなイメージがあります。また独特の跳ねるビートがところどころで登場するのですが、これまた単純にファンキーという感じでもなく、きわめて個性的なサウンドといっていいとおもいます。気になったのは最後のサックスがいまいちいい音ではないことです。もっと優しくマイルドな音を出すプレイヤーっていると思うんですがね。

  • The Pretty Reckless / Going To Hell
     気だるいなげやりなフィーリングのナスティな70年代っぽいロックという感じですが、ヴォーカルはどうやら本職はモデルらしいです。そういえばビデオを見ると細い体型ですよね。ただ気だるいといいつつも、けっこう声は若くてはりがあるので、それほど人生に疲れた感じはしません。むしろセクシーだったり、子供が歌っているように聞こえる部分もあるような・・・。70代フィーリングのかなめはヴォーカルの声質というよりは、歌いまわしと泥臭いリフを軸にしたアレンジによる部分が大きいと思います。けっこう微妙なバランスを保っている音楽で、たとえばもうちょいレイドバックして声がかすれたら、ジャニスと比較されるようなブルースロックになりますし、もう少しワイルドならSkid Rowみたいな感じになると思うのですが、どちらにも転ばないバランスこそがこのバンドの個性のように感じました。モデルや女優がメタルをやるとポーザーあつかいされがちですが、彼女のバンドはそういう扱いにはならなさそうです。というのも音楽の端々にロックが好きだという感触があり、やらされてる感があまりないからです。


  • Iron Savior / Rise of the Hero
     ちょっとカジュアルで大げささを抑えたなブラインド・ガーディアンっていう感じです。基本的には正統派のメタルサウンドではあるんですが、とちゅうのDance With Somebodyなど、ちょっとヒネりのある曲もはさみつつで新鮮さが失われない工夫があります。頭数曲は速めのテンポで畳みかけ、Iron Woriorでミドルテンポで聴かすという流れもなかなかいい感じです。ベタなわりには正統派メタルバンドにありがちなマンネリ感もあまり漂ってこないあたりもなかなかよかったとおもいます。各曲しっかりとフックのあるメロディがあります。ちょっとアレなのは曲のタイトルがIron WorriorとかDragon Kingとか、中学生レベルの語彙連発なところですかね。

  • Periphery / Clear
     非常に洗練された音楽で、たとえばメタル系のゴリゴリしたリフやグロウルといった要素も、音楽の一部として組み込み全体としてユーモアのセンスを感じさせる多様で、カラフルな音楽を作り出すことに成功しています。そしてメタルとは思えないサウンドの透明感も彼らの個性で、まさにClearというタイトルが彼らの個性を表していると思います。このEPは実験的な作品で各曲メンバーがプロデューサーをして個別に作られたもので、本来のバンドの製作プロセスとは異なっているらしいのですが、結果的には、このバンドのメンバーがみな幅広い音楽を使いこなすたかい素養を持っていることが分かる作品となっています。個人的にはかれらのセンスってFreak Kitchenとちょっと似てるなと思うんですが、いかがでしょう?