- The Agonist / Prisoners
前作と比べコード、リズム、曲構成のバリエーションが一気に増えた感じがします。パワーコードの間にすっと挿入されるテンションコードやアコースティックギターを使ったメロウなパートなど、音楽に深みが出てきたところは間違いなく成長と言えるでしょう。ギターは前作に比べはるかに多様なスタイルの演奏を聴くことができます。曲のバリエーションの多様化にあわせヴォーカルの表現力もアップしています。ドラムも密度が高いプレイを相変わらず聴かせてくれます。ただ、曲が複雑化した分、取っ付きやすいキャッチーさは後退しています。リズムもバリエーションが豊かになった分、シンプルなスピード感は前作の方が上だったように思います。とはいえ、音楽の質を高める方向でオーソドックスなメタルコアからの脱皮をはかる姿勢は好感が持てます。聴き込んでいく楽しみがたっぷりと詰まったメタルコアのアルバムといえるでしょう。
- Circus Maximus / Nine
ノルウェーのプログレメタルバンドの新作。ヘヴィネスは控えめで、演奏もあまり押し付けがましくないライトな味わいがこのバンドの個性です。演奏は巧いんですが、ユニゾンや変拍子といったテクニカルな要素はあくまでも隠し味的に使われて、これでもかと押し付けがましく響くことは皆無です。これを「物足りない」と感じるか「センスがいいね」と感じるのかでこのバンドに対する評価は分かれるでしょうね。サビのメロディーはとてもキャッチーなので、普通に歌モノとして聴いてもいいんじゃないでしょうか。ヴォーカリストの声質もクリアで透明感があり、さわやかで知的な雰囲気の高品質な音楽が並んでいます。
