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  • The Agonist / Lullabies for the Dormant Mind
    3rdアルバムが出たところのカナダのメタルコアバンドの2nd。どうもメタルコアは玉石混合のジャンルになってしまっていて、各バンドなんとか個性を出そうと手を替え品を替えという状態になっています。このバンドの場合、女性ヴォーカルっていうのがぱっと見一番、個性的なポイントです。たしかにビデオをみても女性がフロントマンっていうのは、華があります。しかもグロウルもかなりいい感じで、下水系のボォーという声から金切り声に近いような声までレンジ広いです。クリーンボイスの方はちょっと独特でメタル女性ヴォーカルに典型的な張りのあるエモーショナルな歌というよりは、なんかこう流すようなけだるい歌い回しをします。しかし、このバンドの本当の特徴は実はヴォーカルではなく、モダンでよくアレンジされた緩急を使い分ける曲調と、充実した演奏にあると思います。まず曲の方はアルバムを通して聴いたときの構成が非常に練られていて、カオティックでブルータルな二曲目の『And Their Eulogies Sang Me To Sleep...』からキャッチーな『Thank You, Pain』への流れは見事です。ギターはソロは短めですが、その短いソロのなかでフレーズの構成力を感じさせてくれると同時に、コンパクトかつテクニカルなプレイを聴かせてくれます。そして、素晴らしいのがドラムです。音数が多く、緻密なドラミングでありながら、巧いドラマーならではグルーブがあるところが魅力です。このグルーブはEXTREMEやANNIHILATORでのマイク・マンジーニを彷彿させます。とにかくフィルインも決まりまくっていて、超カッコいい。女性でグロウルで歌えるワールドワイドで活動しているバンドということで、Arch EnemyYouTubeとかで比較されているようですが、全然似てません。まず曲の質感が完全にモダンなそれです。Arch Enemyと比べて非常に計算された曲の作りなどが背景にあるように感じます。メタルコアが好きなら、まず間違いなく気に入ると思うんですが、今のメタルコアバンドのなかでだとちょっと埋没気味?だからってあわてて女性ヴォーカルを前面に出した色物的な売り方をすることだけはやめてほしいです。何と言っても質は高い訳ですから。