最近聴いた音楽

  • Dream Theater / Dream Theater
     このバンドに関しては、もはや私がレビューする意味などまったくないほど、ビッグネームになってしまいました。しかもこのバンドの場合、新作が駄作であるということがまったく想定できません。そして新作も予想通り、とてつもなく優れたアルバムでした。超絶なテクニックと印象的なメロディー、ドラマティックなアレンジとアグレッシブなリフ、なにもかもが調和した世界が展開されます。どの曲にもここぞという聴きどころがあり、聴けば聴くほどアルバムのよさを感じることができます。最後の“Illumination Theory”など20分間もある曲なのに、まったく長さを感じません。クラシカルなスケールで攻めるギターソロから、シンフォニックなシンセサイザーのアレンジへの流れ、そしてヘヴィなベースラインを経てクライマックスの盛り上がりへと続く一連の流れは、鳥肌ものです。何よりかれらのアルバムの素晴らしいところは、美しい景色のようなイメージを伴うところです。時には暗黒の宇宙であったり、峻厳な岩肌に打ち付ける波、凍てついた氷河、高原に広がる草原とそこに咲く高山植物といったイメージが音から浮かんできます。アルバムを聴き終わると、まるで長い旅から帰ってきたような充実感に満たされます。変拍子がどうの、調性がどうのといった細かな点についてどうこう言うことが、もはや意味を持たない次元の音楽だと感じました。それにしても下にビデオを貼った一曲目の“The Enemy Inside”も重いテーマをもった曲です。これを陳腐に感じさせずに音楽としてまとめあげるDream Theaterはすごいとしかいいようがありません。