前から気になっていたCR-Zの試乗に行ってきました。CR-Zはハイブリッドスポーツカーというようなカテゴライズがされていますが、ホンダのHPの車のラインナップを見てみると「スポーツ/SUV」の項にはシビック タイプRとCR-Vしか記載されていません。あれっ？と思ってハイブリッドの項をみるとCR-Zが見つかります。まぁ、ようするにスポーツカーよりはハイブリッドカーというキャラクターの方を強く感じる車ということでしょう。実際、ネットでの評判を見てみると「遅い」とか「スポーツカー」というより「スポーティーカー」とか「どん亀」とか言われています。たしかに試乗の時、ドアを開けてもたとえばマツダのロードスターみたいな「ドア軽っ！」「イス低っ！」みたいな感じはありません。ドアはほどほどに軽く、イスはほどほどに低いといった感じです。とはいえ普通の車に比べるとイスのポジションはそこそこ低いのでスポーティーな雰囲気はあります。スポーツカーといえばピザはコックピットに入ることもできないような狭い印象がありますが、CR-Zはコックピットも助手席も広くてゆったりとしています。これにスカイルーフがつくと開放感たっぷりで快適でしょう。ペダルを踏んでみるとアクセルはそれほどでもありませんが、ブレーキペダルはストロークがひじょうに短いです。走り出してみて分かったんですが、このブレーキは素晴らしいです。短いストロークでかっちりとした効き具合です。で、止まるとアイドリングストップが働きます。ただエンジンの停止は非常に静粛におこなわれるため、とまったことに気づきません。再発進の時にエンジンがかかるので、それで「あぁ止まってたんだな」と感じます。スポーツカーというとエンジンの回転数をあげた音がひとつの魅力になる場合がおおいですが、CR-Zは町中でまったり走っている限り非常に静かな車です。重心が低く安定した車の姿勢と、路面状態を伝えつつ堅すぎないサスペンションのおかげでしょうか、安心感のあるがっしりした感触で乗り心地は普通にいいです。CR-Zにくらべると今乗っているデミオはあらゆる操作が華奢な感じがします。あ、でもハンドリングはデミオの方がいいように感じます。CR-Zのハンドリングは非常にクイックでちょっとまわすとグッと回るのですが、なんというか演出過多を感じるんですよね。デミオのほうが自然な印象です。ただし、直進時にハンドルが安定しているのはCR-Zだと思います。で、問題の加速ですが、町中ではECOモードでまったく問題ない感じでした。町中でスポーツモードを使うことはまぁないでしょう。スポーツモードにすると加速はよくなりますが、まぁそれほどでもありません。ただ、高速道路も含め日本の道を普通に走るなら十分すぎる性能だと思います。余裕をもって運転できるところは、運転する人間にとってはありがたいことです。長距離ドライブのときなどはけっこう効いてくるポイントだと思いました。燃費は15km/Lぐらいでしょうか。私のスカイアクティブが搭載されていない1.3Lのデミオとどっこいどっこいといった感じです。レギュラーガソリンですし、悪くないと思います。ちなみに私はかなりまったりとした運転をする人なので、普通の人はもうちょい悪くなるはずです。トランクも広くて、かなり荷物が入ります。というわけで、ドライバーと助手席に人間にとっては非常にすばらしい車といっていいCR-Zですが、リアシートの人間にとっては地獄としかいいようのない車です。まず高さがありません。ただ、この点は私に取ってはそれほど問題ではありません。私は身長が155cmしかありませんから、天井に頭がつっかえることはありませんでした。家族にも身長の高い人間はいないので、上方向の狭さはなんとかなります。ただ、前方向にも狭いです。足がフロントシートの背もたれとの間にはさまっているような状態で座る必要があり、姿勢を変えることができないことが非常にしんどいです。というわけで、リアシートをどう考えるかによって、この車への評価がかわってくるのかなと思いました。
