最近聴いた音楽

  • SymphonyX / Underworld
     様式美とDream Theaterっぽい感じのプログレを融合させたスタイルから、徐々にリフオリエンテッドな要素が強くなってくるという変遷をたどっているバンドですが、ここ最近は変拍子やユニゾンが圧倒的なヴォリュームと密度で詰め込まれた作品をつくっていて、前作『Iconoclast』でその方向はピークを迎えたのかなというのが新作の印象です。新作はけっこう全体の印象としてあっさりしています。ちなみに純粋な音楽のクオリティだと前々作の『Paradise Lost』がピークだと思います。こう書くとクオリティ、密度、ヴォリュームでは平凡なできなのかなと思うかもしれませんが、そもそもこのバンドはアホみたいにクオリティが高いので、普通に作品を作ってくれれば、十分に名作です。新作はリフとヴォーカルのタイミング的な駆け引きや、コードの構成音をギターが弾いていく中でメロディーをなぞっていくヴォーカルの浮遊感といったアレンジのひねりが非常に効いた作品で、メタル的なカタルシスよりも音楽的な深みが増した作品といえそうです。他方、前々作あたりから一般的に様式美、プログレメタル好きの好きな音楽性からちょっと距離を置きつつある感じが、より鮮明になったように感じました。



  • Hibria / Hibria
     個人的にはストライクゾーンのどまんなかのヒブリアの新作はキレッキレでした。まぁ若干ホーンセクションやストリングスがアレンジに加えられていますが、基本的にはVo. G. B. Dr.のソリッドでタイトなサウンドが素晴らしいです。むしろ音楽的に幅が出て、よかったのではないでしょうか。しかも演奏はフレッシュなエネルギーであふれていて、多彩な音楽的背景を感じさせつつ、正統派のメタルを聴くことができます。これは彼らが純粋に音楽をどうすればよくなるのか考えているからで、既存のメタルにありがちなパターンを組み合わせるような曲の作り方をしているバンドには絶対に出せない感覚です。しかも正統派でありながら、まったくクサさを感じさせないドライなフィーリングも私は大好きです。カバーのSir. Dukeも最高ですし、Ghostのエンディングのスティーブ・ヴァイインスパイアのフレーズもニヤリとさせられます。


  • Gus. G / Brand New Revolution
     前作はどうも惰性で作っているというか、演奏に緊張感がなくてなんだか微妙だな~と思っていたんですが、新作はうってかわってがっちりと作りこんだ作品です。イントロとなっている1曲目のインストからギターが切れ味鋭い速弾きを聞かせてくれます。そこからなだれこむ2曲目がまた名曲でNWOBHMを彷彿させるクサすぎないクラシックなメロディーを聴くことができます。Gus. Gのソロがまた最近のレガートなタイプではなく、オルタネイトピッキングを多用したガッツィーなタイプでおもわずガッツポーズをしてしまう熱さ。適度にリラックスしつつ、締めるべきところはビシッと締めたバランスのいい作品でした。歌のメロディーもダークかつメロディアスでいいですねぇ。